11日前場の香港マーケットは、主要76銘柄で構成されるハンセン指数が前日比40.37ポイント（0.20％）安の19721.83ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数（旧H株指数）が4.48ポイント（0.07％）安の6678.75ポイントと小幅ながらそろって3日続落した。売買代金は480億5720万香港ドルとなっている（10日前場は515億4460万香港ドル）。　
　中国景気の先行き不安が強まる流れ。寄り付き直後に発表された4月の中国物価統計を受け、経済活動の縮小が連想された。消費者物価指数（CPI）は前年同月比プラス0.1％にとどまり、上昇率が市場予想（0.3％）と前月実績（0.7％）を下回っている。生産者物価指数（PPI）はマイナス3.6％となり、下落率は市場予想（マイナス3.3％）と前月実績（マイナス2.5％）を上回った。ただ、下値は限定的。中国当局は景気持ち直しを後押しするため、景気対策を強めるとの期待も根強い状況だ。また、米国でインフレ進行の警戒感がやや薄れる中、6月の米連邦公開市場委員会（FOMC）で利上げが停止されるとの観測が一段と強まっていることも相場の下支え要因となっている。(亜州リサーチ編集部)
　ハンセン指数の構成銘柄では、アルミ製品の中国宏橋集団（1378/HK）が3.4％安、中国中堅デベロッパーの龍湖集団HD（960/HK）と不動産管理サービスの華潤万象生活（1209/HK）がそろって2.9％安と下げが目立った。
　セクター別では、非鉄が安い。上記した宏橋集団のほか、中国アルミ（2600/HK）が5.4％、洛陽モリブデン集団（3993/HK）が3.8％、江西銅業（358/HK）が2.9％、新疆新キン鉱業（3833/HK）が2.2％ずつ下落した。昨夜のロンドン金属取引所（LME）では、アルミなど主要非鉄の先物が軒並み値下がりしている。
　石油セクターもさえない。大手3社の中国石油化工（386/HK）が1.9％安、中国石油天然気（857/HK）が1.6％安、中国海洋石油（883/HK）が0.9％安、原油掘削の中海油田服務（2883/HK）が1.5％安で引けた。
　産金セクターも売られる。中国黄金国際資源（2099/HK）が6.6％安、招金鉱業（1818/HK）が4.3％安、紫金鉱業集団（2899/HK）が4.2％安、霊宝黄金（3330/HK）が3.3％安で前場取引を終えた。
　半面、自動車セクターの一角は高い。理想汽車（2015/HK）が16.0％、華晨中国汽車HD（1114/HK）が2.0％、小鵬汽車（9868/HK）が1.8％、比亜迪（1211/HK）が1.2％ずつ上昇した。中国新興EV（電気自動車）メーカーの理想汽車は10日引け後、今年第2四半期（4〜6月）の業績ガイダンスを発表。新車出荷台数に関し、前年同期比で3倍弱の伸びを予想した。
　「ニューエコノミー」関連銘柄も物色される。上記した新興EV各社のほか、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造（981/HK）が1.9％高、中国Eコマース最大手の阿里巴巴集団HD（9988/HK）が1.6％高と値を上げた。ハンセン科技（テック）指数は0.9％逆行高している。
　一方、本土マーケットも3日続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.11％安の3315.55ポイントで前場取引を終了した。エネルギー株が安い。素材株、銀行・証券株、酒造株なども売られた。半面、不動産株は高い。医薬品株、半導体株、公益株、保険株も買われた。


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