週明け15日の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比28.25ポイント（0.17％）安の16216.33ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数（旧H株指数）が35.42ポイント（0.65％）安の5446.52ポイントと続落した。売買代金は710億7930万香港ドルとなっている（12日は694億8300万香港ドル）。
　投資家の慎重スタンスが強まる流れ。中国経済の先行き不安がくすぶっている。中国人民銀行（中央銀行）が12日発表した12月の金融統計では、人民元建て新規融資額が予想にとどかず、マネーサプライ（通貨供給量）M2の伸びは前月水準を下回った。また、朝方公表された1月の中期貸出ファシリティ（MLF）金利は、低下予想に反し、前月と同水準に据え置かれている。ただ、ハンセン指数などはプラス圏で推移する場面もみられた。金融統計の下振れなど、中国景気の鈍化懸念が強まる中、「中国政府は追加の経済対策を打ち出す」との期待も高まっている。(亜州リサーチ編集部)
　ハンセン指数の構成銘柄では、インターネット検索最大手の百度集団（9888/HK）が11.5％安、新興EV（電気自動車）メーカーの理想汽車（2015/HK）が4.3％安、光学部品メーカーの舜宇光学科技（2382/HK）が3.8％安と下げが目立った。百度集団に関しては、米国の制裁措置が警戒されている。香港メディアは12日、百度が開発した生成AI（人工知能）サービス「文心一言（ERNIE Bot）」について、人民解放軍が利用を開始したもよう――などと報じた。「ニューエコノミー」関連銘柄が急落したことで、ハンセン科技（テック）指数は1.9％安と他の指数をアンダーパフォーム。22年11月以来の安値を付けた。
　セクター別では、新興EV関連が安い。上記した理想汽車のほか、中国恒大新能源汽車集団（708/HK）が12.1％、小鵬汽車（9868/HK）が9.2％、蔚来集団（9866/HK）が2.8％ずつ下落した。EV大手のテスラ（TSLA/NASDAQ）は12日、一部モデルの値下げを発表。理想汽車も一部モデルに対し、価格優遇キャンペーンを導入する。24年も価格競争が続くと警戒された。
　中国不動産セクターもさえない。中国海外宏洋集団（81/HK）が5.8％安、建発国際投資集団（1908/HK）が5.0％安、中国奥園集団（3883/HK）が4.8％安、旭輝（884/HK）が3.9％安で引けた。
　半面、海上輸送やエアラインの運輸関連は高い。中遠海運能源運輸（1138/HK）が7.0％、中遠海運HD（1919/HK）が3.2％、東方海外（316/HK）が2.8％、中国南方航空（1055/HK）が3.6％、中国国際航空（753/HK）が2.4％ずつ上昇した。海運については、運賃上昇の思惑が再燃している。イエメンの親イラン武装組織フーシ派がスエズ運河に通じる紅海で商船襲撃を繰り返す中、英米軍はフーシ派の拠点を空爆。海運大手は紅海の迂回を余儀なくされている。
　一方、本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.15％高の2886.29ポイントで取引を終了した。エネルギー株が高い。通信ネットワーク株、運輸株、金融株、不動産株、公益株、医薬株なども買われている。半面、軍事関連株は安い。素材株、消費関連株やハイテク株の一角も売られた。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。