29日前場の香港マーケットは値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比201.23ポイント（0.70％）高の28976.44ポイントと4日続伸し、本土企業株で構成される中国本土株指数（旧H株指数）が93.26ポイント（0.83％）高の11388.07ポイントと反発した。半日の売買代金は590億9800万香港ドルに拡大している（28日前場は490億3400万香港ドル）。
　内外の株高で買い安心感が広がる流れ。昨夜の米株市場では、米金利の下げ止まりを受けて銀行株が上昇し、NYダウが反発した。この日の本土株市場では、中国景気の先行き不安が薄らぐなかで上海総合指数は急反発。上げ幅を徐々に拡大するなか、香港の各指数も前引けにかけて上昇ピッチが速まった。李克強首相は28日、国際的な経済会議の「博鰲（ボアオ）アジアフォーラム」で演説。「今年に入り、中国経済は安定的に推移している。3月は電力消費が2ケタ増となるなど改善が顕著だ」と国内経済について自信を示した。米中貿易問題を巡る不透明感もやや後退。両国の閣僚級協議は28日に北京で再開された（29日まで）。「中国はクラウドなどIT分野で歩み寄りを示している」と伝わり、協議が進展していると評価されている。
　ハンセン指数の構成銘柄では、乳製品メーカー中国大手の中国蒙牛乳業（2319/HK）が4.1％高、生命保険事業で中国最大手の中国人寿保険（チャイナライフ：2628/HK）が3.0％高、バイオ製薬・中医薬メーカーの中国生物製薬（1177/HK）が2.9％高と上げが目立った。蒙牛乳業は28日に続き、好決算を手がかりに買われている。中国生物製薬は本日中に業績報告する予定。同社は20日、大幅増益の見通しを示している。
　業種別では、保険や証券の金融が高い。上記した中国人寿保険のほか、新華人寿保険（1336/HK）が3.2％、中国平安保険（2318/HK）が2.0％、中信証券（6030/HK）と海通証券（6837/HK）がそろって5.1％、華泰証券（6886/HK）が4.4％、広発証券（1776/HK）が4.0％ずつ上昇した。
　空運セクターも急伸。中国国際航空（753/HK）が9.3％高、中国南方航空（1055/HK）が7.4％高、中国東方航空（670/HK）が6.9％高で引けた。中国国際航空は28日朝、市場予想を上回る決算内容を報告。ブローカー各社は目標株価を相次ぎ引き上げた。
　そのほか、昨日引け後から今朝がたにかけて増益決算を明らかにした銘柄では、政府系投資会社の上海実業HD（上海インダストリアル：363/HK）が6.0％高、北京市政府系コングロマリットの北京HD（北京エンタープライゼズ：392/HK）が2.2％高、ICファウンドリー中国大手の華虹半導体（ファホンセミコンダクター：1347/HK）が2.1％高などと値を上げている。
　本土マーケットは急反発。主要指標の上海総合指数は、前日比2.36％高の3065.75ポイントで前場の取引を終えた。金融株が上げを主導する。消費関連株、空運株、不動産株、インフラ関連株、ハイテク株、医薬品株なども買われた。



内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。