週明け17日前場の香港マーケットは、主要64銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比143.21ポイント（0.59％）安の24240.11ポイントと続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数（旧H株指数）が84.57ポイント（0.99％）安の8470.22ポイントと3日続落した。売買代金は596億6930万香港ドルにやや縮小している（13日前場は653億1530万香港ドル）。
　新型コロナ感染再拡大の影響が不安視される流れ。北京市当局は15日、変異ウイルス（オミクロン）感染を同市で初めて1人確認されと報告した。北京冬季五輪の開催を来月に控える中、「ゼロコロナ」政策を掲げる中国では、感染集中した地区で厳格な行動規制を実施している。また、香港政府トップの林鄭月娥（キャリー・ラム）行政長官は14日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症対策を延長する方針を表明した。社会活動の停滞で実体経済が落ち込むと危惧されている。
　一方、中国経済指標には反応薄。取引時間中に公表された2021年の国内総生産（GDP）成長率は前年比8.1％となり、市場予想（8.0％）をやや上回ったものの、前年実績（9.8％）から大幅に鈍化している。12月の月次統計は、小売売上高が大幅に予想を下回る一方、鉱工業生産額は上振れするなどまちまちだった。(亜州リサーチ編集部)
　ハンセン指数の構成銘柄では、不動産管理サービスの碧桂園服務HD（6098/HK）とデベロッパー大手の碧桂園HD（カントリー・ガーデン・ホールディングス：2007/HK）がそろって7.4％安、中国民間ガス供給業者の新奥能源HD（ENNエナジー：2688/HK）が4.3％安と下げが目立った。
　セクター別では、中国の不動産関連が安い。上記した碧桂園服務HDと碧桂園HDのほか、融創中国HD（1918/HK）が5.1％、雅居楽集団HD（3383/HK）が4.4％、深センHD（深セン・インベストメント：604/HK）が3.9％ずつ下落した。政府系デベロッパーの深センHDについては、2021年12月期（本決算）の赤字転落見通しが売り材料視されている。保有する中国恒大集団（チャイナ・エバーグランデ：3333/HK）株の評価額目減りが響いたという。
　ゼネコンや素材のインフラ建設関連もさえない。中国鉄建（1186/HK）が2.2％安、中国交通建設（1800/HK）が2.0％安、中国アルミ（チャルコ：2600/HK）が3.9％安、江西銅業（358/HK）が1.6％安、安徽海螺水泥（安徽コンチセメント：914/HK）が2.0％安、中国建材（3323/HK）が1.9％で引けた。
　他の個別株動向では、石炭生産で国内2位の中国中煤能源（1898/HK）が6.5％安。昨年12月の石炭販売量が前年同月比で7.3％減少し、マイナス成長が4カ月連続だったことが嫌気された。
　半面、マカオのカジノ関連は高い。金沙中国（サンズ・チャイナ：1928/HK）が15.4％、銀河娯楽集団（ギャラクシー・エンターテインメント：27/HK）が8.2％、澳門博彩HD（SJMホールディングス：880/HK）が5.0％ずつ上昇した。マカオ政府は14日、「娯楽場幸運博彩経営法」（通称：カジノ法）改正案の内容を公表。ほぼ予想通りの内容だったことが買い安心感につながった。
　そのほか、コンテナ製造大手の勝獅貨櫃（シンガマス・コンテナ：716/HK）が19.8％高。2021年12月期（本決算）の大幅増益見通しが好感された。
　一方、本土マーケットは3日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.59％高の3542.03ポイントで前場の取引を終了した。ハイテク株が高い。不動産株、公益株、医薬品株、エネルギー株、自動車株なども買われた。半面、食品飲料株は安い。運輸株、素材株、金融株の一角も売られた。



内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。