21日前場の香港マーケットは、主要60銘柄で構成されるハンセン指数が前日比75.76ポイント（0.29％）安の26060.26ポイントと5日ぶりに反落する半面、本土企業株で構成される中国本土株指数（旧H株指数）は25.21ポイント（0.27％）高の9301.90ポイントと5日続伸した。売買代金は766億8610万香港ドルに縮小している（19日は928億4420万香港ドル）。
　インフレ高進の警戒感が重しとなる流れ。昨夜のWTI原油先物は5日続伸し、一時、7年ぶりの高値を付けている。米市場では、米10年債利回りの高止まりを嫌気し、ハイテク株など高PERのグロース（成長）株が下落。ナスダック指数は6日ぶりに反落した。ただ、香港の各指数は下値が堅い（本土株指数はプラス）。中国人民銀行（中央銀行）の資金供給スタンスなどが支えとなっている。人民銀は21日、リバースレポ取引を通じ、前日と同様、満期到来分との差引で900億人民元の資金を市場供給した。中国経済の減速懸念がくすぶるなか、当局の経済対策に対する期待感も続いている。(亜州リサーチ編集部)
　「ニューエコノミー」関連銘柄が下げを主導。ITやハイテクなどで構成されるハンセン科技指数は0.7％安と他の指数をアンダーパフォームした。主要な構成銘柄では、小米集団（シャオミ・コーポレーション：1810/HK）が2.2％安、百度集団（バイドゥ：9888/HK）が1.4％安、美団（メイトゥアン：3690/HK）が1.3％安と値を下げている。
　医薬品セクターも安い。薬明生物技術（ウーシー・バイオロジクス：2269/HK）が3.8％、石薬集団（1093/HK）が3.4％、康哲薬業HD（867/HK）が3.2％、康希諾生物（カンシノ・バイオロジクス：6185/HK）が3.0％、四環医薬HD集団（460/HK）が2.8％ずつ下落した。
　そのほか、中国恒大集団（3333/HK）は傘下企業の売却計画撤回で取引再開し、前営業日比10.8％安と急落。同社が中国恒大集団が資金繰り改善の一環として進めていた傘下の不動産管理会社、恒大物業集団（6666/HK）の株式50％を同業の合生創展集団（754/HK）売却する計画はとん挫した。同じく取引再開した恒大物業集団は6.4％安、合生創展集団は5.1％高で前場取引を終えた。
　半面、中国恒大などを除く本土不動産セクターは急伸。中国海外発展（688/HK）が6.4％高、龍湖集団HD（960/HK）が6.3％高、碧桂園HD（2007/HK）と華潤置地（1109/HK）がそろって4.9％高で引けた。業界を巡る不透明感がやや後退。中国の劉鶴・副首相は20日、「国内の不動産市場で個別の問題が発生しているものの、リスクは全体としてコントロール可能だ」とする見解を示した。デフォルト危機に直面する中国恒大集団の問題を念頭に置いた発言とみられる。
　中国保険セクターも高い。中国平安保険（2318/HK）が7.3％、中国太平洋保険集団（2601/HK）が3.2％、新華人寿保険（1336/HK）が2.7％、中国人寿保険（2628/HK）が2.4％、中国人民財産保険（PICC：2328/HK）が1.8％ずつ上昇した。
　一方、本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.46％高の3603.62ポイントで前場の取引を終了した。エネルギー株が高い。金融株、不動産株、素材株なども買われた。半面、ハイテク株は安い。医薬品株、消費関連株も売られた。




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