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2025/06/06 08:49

上値の重い展開か、米中指標発表が気がかり 無料記事

◆6日の香港マーケットは、米中指標の発表を前に上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は好材料と悪材料が交錯。貿易問題を巡る米中協議が進展するとの期待が高まる一方、米利下げ期待は後退している。トランプ米大統領と中国の習近平・国家主席は5日に電話会談を実施。トランプ氏は自身のSNSに、「非常に良い会談だった」と投稿し、近く高官レベルの通商協議を再開すると述べた。また、習氏はトランプ夫妻を中国に招き、トランプ氏も習氏を米国に招待する考えを示している。一方、米国の9月利下げ観測は後退。米連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事は5日、2025年はインフレ率の上昇が続くとして、現状の金利据え置きを指示する考えを明らかにした。5日の米債券市場では、米10年債利回りが上昇に転じている(債券価格は反落)。
 米労働市場の軟化も懸念材料。5日に公表された新規失業保険申請件数(週間)は市場予想を上回り、2週連続で増加。前日に発表された5月のADP全米雇用リポートでは、(政府部門を除く)非農業部門の雇用者数が予想を大幅に下回り、2年ぶりの低い伸びだった。6日には5月の米雇用統計が報告される。結果次第では相場の波乱要因となろう。
 5日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.3%安と続落し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.8%安と4日ぶりに反落した。個別ではテスラ株が14.3%安。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はこれまでトランプ米大統領を支援してきたが、足元では政策を巡りお互いに非難の応酬を続けている。
 中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.5%高と4日続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が7.8%高、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が4.8%高、新東方教育科技集団(EDU/NYSE、9901/HK)が3.8%高と上げが目立っている。
 商品相場は、米中協議の進展期待を支えに、WTI原油先物が0.8%高と反発。一方、NY金先物は0.7%安と反落している。
 内部環境はやや不透明。週明け9日に、5月の物価統計や貿易統計が発表されることが気がかりだ。直近で公表された5月の経済指標では、民間集計による財新・中国製造業PMIが48.3と市場予想を下回り、8カ月ぶりに景況判断の境目となる50を割り込む一方、財新・中国サービス業PMIは51.1と上振れし、節目の50を29カ月連続で超過している。米中貿易摩擦が製造業を圧迫しているとの見方だ。
 こうした中、本日の香港マーケットは全体として上値の重い展開か。米中協議の進展期待が高まったことはプラスとなるものの、米中の重要経済指標発表を前に、買いが手控えられる可能性もあろう。


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