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2025/07/08 08:45 NEW!!

上値の重い展開か、「トランプ関税」に警戒感 無料記事

◆8日の香港マーケットは、「トランプ関税」の影響を懸念し上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はネガティブだ。トランプ米大統領は7日正午(日本時間8日午前1時)、予告通り貿易相手国に対する新たな関税率の通知を開始。公開された通知第1弾の書簡によると、新たな関税率は日本や韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジアが25%、南アフリカ共和国が30%、ラオスとミャンマーが40%となる。適用は8月1日から。交渉期間が設けられたとは言え、高関税回避の期待は薄く、世界経済を冷やすとの警戒感も高まる状況だ。
 休場明け7日の米株市場は、主要指標のNYダウが前営業日比0.9%安と反落し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.9%安と3日ぶりに反落した(日本時間8日朝方の米株先物も下落)。
 半面、中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.6%高と4日続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が4.0%高、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が3.1%高、騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック:TME/NYSE、1698/HK)が3.1%高と上げが目立っている。
 一方、内部環境はそれほど悪くない。中国の政策に対する期待感が続いている。中国政府系の経済紙は6日、「国務院(内閣に相当)常務会議では、優良住宅の建設を推進するための政策支援が必要だとする共通認識が得られた」と報じた。また、外電が報じたところによると、複数の中国政府アドバイザーは、第15次5カ年計画(2026〜30年)について、消費拡大を最優先課題として提言している。
 ただ、気がかり材料もある。中国では9日、6月の物価統計が公表される予定。最新の市場コンセンサスでは、消費者物価指数(CPI)が前年同月比マイナス0.1%(5月はマイナス0.1%)、生産者物価指数(PPI)がマイナス3.2%(同マイナス3.3%)で着地すると予想されている。中国当局はこのところ、デフレ圧力の高まりに対する対策を強化しているだけに、改善の兆しがみられるかが焦点だ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。米高関税政策による世界経済の鈍化が懸念されるほか、中国指標を見極めたいとするスタンスも買い手控え要因となろう。ただ、中国の政策に対する期待感は根強く、恩恵を受けやすい銘柄などの物色はみられそうだ。また、ベッセント米財務長官が7日、貿易問題を巡り、「今後数週間以内に中国の担当者と会う予定」と述べたことも買い安心感につながる可能性がある。
 なお香港では、新規株式公開(IPO)が集中する。あす9日は半導体設計企業の峰チョウ科技深セン(1304/HK)、CCUS(カーボン・リサイクル)企業の北京首鋼朗沢科技(2553/HK)、自律走行搬送ロボット(AMR)大手の北京極智嘉科技(2590/HK)、統合型クラウド通信サービス大手の北京訊衆通信技術(2597/HK)、民間歯科医療サービスの武漢大衆口腔医療(2651/HK)、最先端デバイス部品製造の藍思科技(6613/HK)などだ。


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