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2025/09/05 08:57

神経質な値動きか、好悪材料が入り混じる 無料記事

◆5日の香港マーケットは、好悪材料が入り混じる中で神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はそれほど悪くない。米労働市場の軟化を背景に、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを再開するとの観測が高まっている。4日に発表された8月のADP全米雇用リポートでは、(政府部門を除く)非農業部門の雇用者数が前月比5万4000人増と予想(7万5000人増)を大幅に下回り、新規失業保険申請件数(週間)は予想以上に増加した。4日の米債券市場では、長期金利の指標となる10年債利回りの低下が続き(債券価格は続伸)、一時は約4カ月ぶりの低い水準を付けている。
 ただ、対中圧力の警戒感は続く。トランプ米大統領は4日、フランスのマクロン大統領など欧州首脳と電話会談し、中国はロシアのウクライナ侵攻を経済的に支えているとして、「中国に対する経済的な圧力を強める必要がある」と述べた。そのほか、中小型の新興企業が多く上場する米証券取引所のナスダックは3日夜、中国企業の上場基準を厳格化すると発表している。
 4日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.8%高と4日ぶりに反発し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.0%高と続伸した。機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数は0.8%高と続伸し、1週ぶりに史上最高値を更新している。米利下げ期待が支えとなったほか、米指標の改善も好感された。米サプライマネジメント協会(ISM)が4日公表した8月の非製造業(サービス業)PMIは52.0となり、予想(50.8)以上に前月(50.1)から改善している。
 半面、中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は1.1%安と続落している。主要な香港との重複上場銘柄では、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が4.1%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が4.1%安、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が3.0%安と下げが目立った。
 内部環境には不安材料が重なる。中国当局の市場規制が警戒されている。外電は4日午前、消息筋情報として、「中国の金融当局が一部の投機行為を抑制するための措置を検討しているもよう」などと伝えた。最新データによると、中国株式市場の信用取引残高は今月1日時点で2兆3000億人民元(約47兆7150億円)規模に達し、過去最高に膨らんでいる。当局の規制で、相場の上昇基調に水が差される格好だ。
 中国指標の発表も気がかり。中国では来週8日に8月の貿易統計、10日に物価統計が公表される。米ドル建て輸出に関しては、前月の7.2%増から5.4%増に減速するとの予想がコンセンサスだ。そのほか、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会会議が8〜12日に北京で開催される見通し。経済対策の期待感はあるものの、内容を見極めたいとするムードも漂っている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは好悪材料が入り混じる中で神経質な値動きか。米長期金利の低下は好感されそうだが、当局の本土市場規制や米国の対中圧力などが重しだ。中国指標の発表を来週に控え、模様眺めのスタンスが強まる可能性もあろう。


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