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2025/12/09 09:06

上値の重い展開か、米金融政策や中国指標が気がかり 無料記事

◆9日の香港マーケットは、内外の経済・金融動向を気にしながら上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境には好材料がある。米中貿易摩擦の緩和前進がプラス。トランプ米大統領は8日、米エヌビディア(NVDA/NASDAQ)の人工知能(AI)半導体「H200」について、中国などへの輸出を近く許可すると自身のSNSに投稿した。ただ、8日の米株市場はさえない。主要指標のNYダウが前営業日比0.4%安と反落し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.1%安と5日ぶりに反落している。指数が史上最高値値圏で推移する中、米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催(9〜10日)を前に利益確定売りが優勢となった。FOMCで米連邦準備理事会(FRB)が0.25%利下げを決定することは確実視されているものの、その後の金融政策動向が気がかり。パウエルFRB議長の会見や、メンバーによる政策金利見通しなどを見極めたいとするムードもあった。また、米債券市場では長期金利の指標となる10年債利回りの上昇が続き(債券価格は3日続落)、一時、約2カ月ぶりの高水準を付けたことも懸念されている。
 半面、半導体株は逆行高。マイクロンやブロードコム、エヌビディアなどが買われ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.1%上昇した。約1カ月ぶりの最高値を更新している。
 中国銘柄もしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.1%高と小幅ながら3日続伸している。主要な香港との重複上場銘柄では、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が3.5%高、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が2.6%高、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が1.2%高と上げが目立った。
 内部環境には好材料と悪材料がある。中国の政策に対する期待感が高まっていることはポジティブ。中国共産党は8日、中央政治局会議を開き、「適度に緩和的な金融政策」と「より積極的な財政政策」を継続していく方針を改めて確認した。2026年の経済政策を決める中央経済工作会議については、早めれば今週にも開催される見通し(2024年は12月11〜12日に実施)。内需拡大に向けた支援策を打ち出すとの期待も広がっている。一方、景気不安がくすぶっていることはネガティブ。前日公表された11月の中国貿易統計は、米ドル建て輸出が市場予想(4.0%増)を上回る5.9%増に拡大したが、米ドル建て輸入は予想(3.0%増)を下回る1.9%増に伸び悩んでいる。内需の弱さが改めて示された格好だ。不動産業界の債務問題も続く。デフォルト懸念が高まる万科企業(2202/HK)に関しては、社債償還が相次ぎ延期され、資金繰り悪化が深刻化している。
 なお、中国ではあす10日、11月の物価統計、15日に同月の小売売上高や鉱工業生産など、金融統計も15日までに発表される予定だ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。中国当局が本土市場支援策(レバレッジ規制緩和など)を打ち出したことや、景気重視のスタンスを示したことに加え、米中関係の改善期待が強まったことなどは支えになりそうだが、FOMCや中国指標の結果発表を前に買いが手控えられそうだ。



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