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2025/12/10 09:03

買い手控えか、中国経済指標や米金融政策を見極め 無料記事

◆10日の香港マーケットは、中国経済指標や米金融政策の見極めで上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境には不透明感が漂う。米金融政策の動向が気がかりだ。米連邦準備理事会(FRB)は10日(日本時間11日未明)、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を公表する。0.25%の追加利下げが予想されているが、注目は2026年以降の金融政策動向だ。パウエルFRB議長の会見や、メンバーによる政策金利見通しに注目が集まる。前回のFOMCでは、メンバーの一部が利下げに慎重な判断をした。米金利高もネガティブ。9日の米債券市場では長期金利の指標となる10年債利回りの上昇が続き(債券価格は4日続落)、9月上旬以来の高い水準を付けた。米雇用関係の指標が強かったことで、今後の米利下げペースが緩やかになるとの見方が広がっている。政府閉鎖で集計が遅れていた9月分の雇用動態調査(JOLTS)が9日に発表され、求人件数(非農業部門)が8月実績から増加し、予想も上回ったことが明らかにされた。
 9日の米株市場は方向感を欠く。主要指標のNYダウが前日比0.4%安と続落する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.1%高と反発している。FOMCの結果を見極めたいとして、様子見ムードが支配的だった。
 中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は1.4%安と4日ぶりに反発している。主要な香港との重複上場銘柄では、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が4.7%安、文遠知行(ウィーライド:WRD/NASDAQ、800/HK)が3.6%安、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が3.5%安と下げが目立った。
 内部環境もやや不透明。中国ではこのところ、内需の弱さを示す月次経済統計の公表が相次いでいる。直近では、8日に報告された11月の貿易統計で、米ドル建て輸入が市場予想(3.0%増)を大幅に下回る1.9%増に伸び悩んだ。また、きょう10日に11月の物価統計、15日に同月の小売売上高や鉱工業生産など、金融統計も15日までに発表される。本日朝方(日本時間10時半ごろ)に公表される物価統計に関しては、消費者物価指数(CPI)が前年同月比でプラス0.7%(前月はプラス0.2%)、生産者物価指数(PPI)がマイナス2.0%(前月はマイナス2.1%)で着地すると予想されている。デフレ緩和の兆しがみられるかが焦点だ。
 一方、2026年の経済政策を決める中央経済工作会議は近く開催される見通し(2024年は12月11〜12日に実施)。それより先、中国共産党は8日、中央政治局会議を開き、「適度に緩和的な金融政策」と「より積極的な財政政策」を継続していく方針を改めて確認した。内需拡大が最優先事項となる見込みで、財政出動の拡大も期待されている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。中国経済や米国金利の動向を見極めたいとして、買いを手控えるスタンスが強まりそうだ。ただ、中国の政策に対する期待感は根強く、景気支援策の恩恵を受けやすい銘柄の物色はみられよう。


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