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2019/05/29 08:28

上値の重い展開か、米中貿易摩擦の長期化を警戒 無料記事

◆29日の香港マーケットは、米中貿易摩擦の長期化が警戒されるなかで上値の重い展開か。
 外部環境はネガティブ。休場明けとなった昨夜の米株市場は主要指標のNYダウが前営業日比0.9%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.4%安とそろって反落した。米中貿易戦争の長期化を警戒。トランプ米大統領は27日、「私はある時点で中国と(通商交渉で)合意すると思う」としながらも、「合意の準備はまだできていない」とも述べた。また、中国共産党系メディア「環球時報」の編集長は28日夜、「レアアースの米向け輸出規制を中国は真剣に検討している」とツイッターに投稿している。米中貿易問題の混迷化が意識されるなか、キャタピラーやスリーエム(3M)など、中国関連とされる銘柄群が売りに押された。
 米景気の先行きも不安材料。米10年債利回りは急低下し、約1年8カ月ぶりの低水準に達した。短期金利はそれほど下落せず、景気後退の前兆とされる「逆イールド(長短金利の逆転)」の状態が一段と拡大した。
 一方、28日の本土株市場では、主要指標の上海総合指数が0.6%高と3日続伸。海外マネーの流入期待が強まった。指数算出の米MSCIは28日引け後、グローバル株価指数のA株組み入れ比率を5→10%に引き上げる。また、英FTSEラッセルは6月下旬以降、エマージング・インデックスに中国A株を段階的に組み入れる予定だ。中国人民銀行(中央銀行)の資金供給もプラス。現地メディアは28日、中国人民銀行が27日にリバースレポを通じて市中に資金を供給した措置に言及し、「人民銀は金融市場の安定を確保する明確なシグナルを送った」と論評した。人民銀は28日も資金供給を続けている。
 中国の景気テコ入れ策も好材料。中国の広東省政府は27日夜、「自動車購入制限の緩和など、消費拡大に向けた29項目の措置を実施する」方針を公表した。米中貿易摩擦の激化による景気悪化を避けるため、当局がさらなる景気刺激策を打ち出すとの思惑も流れている。
 こうしたなか、本日の香港・中国マーケットは全体として上値の重い展開か。中国の政策期待は根強いものの、米中貿易戦争の長期化観測がマイナス材料となりそうだ。もっとも、下値を叩くような売りは出ないだろう。中国・香港間の相互取引スキームを通じた28日の売買では、香港経由の本土株売買が買い越しに転じた。また、本土マネーの香港株買いも大幅に増加している。市場活性化の動きが相場を下支えしよう。


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