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2019/06/10 09:56

米株高で買い先行か、米中貿易問題で上値は限定的 無料記事

◆連休明け10日の香港マーケットは、買い先行も米中貿易問題の不透明感で上値は限定的か。
 外部環境はポジティブ。先週末の米株市場は主要指標のNYダウが前日比1.0%高と4日続伸し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.7%高と3日続伸した。米雇用統計の結果を受け、米連邦準備理事会(FRB)が早期利下げに踏み切るとの観測が一段と高まったことを材料視している。5月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが予想を大きく下回った。雇用下支えのため、当局は金融緩和のスタンスを強めるとの見方が広がっている。
 米国を中心とする貿易問題はやや改善。トランプ米大統領は7日、メキシコからの全輸入品に追加関税を課す計画を無期限に延期すると発表した。米国への不法移民流入を巡り、新たな対策で両国が合意したと伝わっている。ただ、米中貿易問題に関しては依然として不透明。ムニューシン米財務長官は8日、米中の通商交渉に関し、「現時点で閣僚級の協議を開く予定はない」と述べている。
 一方、6日の本土株市場では、主要指標の上海総合指数が1.2%安と6日続落。約3カ月半ぶりの安値水準に落ち込んでいる。米中貿易摩擦を背景に、中国景気の先行き不安が意識される状況だ。中国商務部の報道官は、米国との通商交渉について「中国が主な条件で引きさがることはない」と発言している。また、国際通貨基金(IMF)は5日、中国の2019年の国内総生産(GDP)成長率予想を6.2%に0.1ポイント下方修正した(4月時点で6.3%予想)。
 なお、中国国営の新華社は8日、「中国は国家安全保障へのリスクを低減させる新たな制度を計画している」と報道。重要技術の対米輸出が制限されるとの見方があり、ハイテク分野での米中対立が激化するとの不安が高まりそうだ。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。米利下げ観測の高まりを好感した買いが先行しそうだが、米中貿易問題の不透明感は依然としてくすぶっている。貿易摩擦関連のニュースフローに一喜一憂する展開が続きそうだ。
 なお、本日発表される今年5月の中国貿易統計に関しては、人民元ベースの輸入が前年同月比5.8%増(前月は10.3%増)、輸出が同4.7%増(同3.1%増)で着地するとみられている。


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