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2019/05/30 09:02

神経質な値動きか、米中対立の激化・長期化を警戒 無料記事

◆30日の香港マーケットは、米中対立の激化・長期化を警戒し神経質な値動きか。
 外部環境はネガティブ。昨夜の米株市場は主要指標のNYダウが前日比0.9%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.8%安とそろって続落した。NYダウは約3カ月半ぶりの安値水準に落ち込んでいる。米中貿易戦争の激化による世界経済の減速が警戒された。中国共産党系メディアの人民日報は29日、「米国に応酬する中国の力量を過小評価すべきでない」とする記事を掲載し、レアアースを対抗手段とする可能性を示唆した。電化製品や電気自動車(EV)、防衛装備に不可欠なレアアースに関しては、米国は輸入の8割を中国に依存。「レアアースが貿易戦争の武器として使用された場合、米産業界は大きな打撃を受けることになる」と専門家が指摘した。米債券市場では安全資産とされる米長期国債(10年)が急伸(=利回りは低下)し、利回りは3カ月物の米財務省証券(TB)利回りを大きく下回っている。景気後退の前兆とされる「逆イールド(長短金利の逆転)」の状態が一段と拡大した。
 一方、29日の本土株市場では、主要指標の上海総合指数が0.2%高と小幅ながら4日続伸。中国の政策期待が相場を支えた。米中貿易摩擦の激化による景気悪化を避けるため、中国当局はさらなる景気刺激策を打ち出すとの観測が流れている。この日は保険株が軒並み上昇した。税務当局は29日、保険各社に対し税控除の拡大措置を通達。業績改善の期待が高まった。
 こうしたなか、本日の香港・中国マーケットは全体として神経質な値動きか。中国の政策に対する期待感は根強いが、米中対立の長期化観測が重しとなりそうだ。また、あす31日に5月の中国製造業PMIが公表されることも気がかり材料。事前の市場コンセンサスでは、前回の50.1から49.9に低下する見通しだ。景況判断の境目となる50を再び割り込むことになり、中国景気の回復が遅れるとの不安が強まろう。


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