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2020/09/09 09:02

売り先行か、米ハイテク株安が波及 無料記事

◆9日の香港マーケットは、米ハイテク株安の流れを継ぐ展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はネガティブ。休場明けとなった昨夜の米株市場では、主要指標のNYダウが前営業日比2.3%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が4.1%安とそろって3日続落した。新規の買い材料に乏しいなか、夏場の相場上昇をリードしたハイテク関連に売りが続く。ナスダック指数は、今月2日に付けた高値からの下落率が「調整局面入り」とされる10%を超えた。原油相場も急落。WTI原油先物は7.6%安の36.76米ドルで取引を終え、約3カ月ぶりに心理的節目の40米ドルを割り込んだ。
 新型コロナウイルスのワクチン開発に対する期待感がやや後退。ワクチン開発で先行する欧米の製薬会社9社は8日、「安全を最優先し、効果が確認できるまで当局に承認を求めない」と共同声明を発表した。最終臨床試験(治験)の結果を待たずに、緊急的な接種が可能になるとの期待が剥落している。また、米メディアは同日、英アストラゼネカが開発中のワクチンについて、重大な副作用の疑いがあるとして、「米国内の治験を中断している」と報じた。
 一方、8日の本土株市場は、主要指標の上海総合指数が0.7%高と5日ぶり反発。資金流入の継続が追い風。中国人民銀行(中央銀行)が7日発表したところによれば、2020年8月末の外貨準備高は4年ぶりの高水準を記録し、5カ月連続のプラス成長を達成した。業界関係者は、「人民元相場の先高観を背景に、海外マネーの中国流入は今後も続く」と指摘している。中国・香港間の相互取引スキームを通じた売買では、香港経由の本土株売買が買い越しに転じた。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として苦戦を強いられよう。米ハイテク株売りの流れを継ぎそうだ。米中対立の激化懸念も一段と強まる状況。環球時報の編集長は8日、「台湾を訪問した米高官やつながりのある米企業に対し、中国政府は制裁を科す」方針だと明らかにした。また上述したように、早期のワクチン実用化に対する期待が後退した事も投資家心理の重しとなろう。
 なお本日は、取引時間中に(日本時間10時30分ごろ)、8月の中国物価統計が発表される予定だ。


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