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2019/08/15 09:09

売り先行か、世界景気の減速懸念強まる 無料記事

◆15日の香港マーケットは、世界景気の減速懸念で売られる展開か。
 外部環境はネガティブ。昨夜の米株市場は主要指標のNYダウが前日比3.1%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が3.0%安とそろって急落した。NYダウの下げ幅は800米ドル超に達し、今年最大を記録している。欧州や中国の景気減速懸念が逆風。ドイツの4〜6月期GDPが3四半期ぶりにマイナスとなり、中国では7月の鉱工業生産がおよそ10年半ぶりの低い伸びとなった。米国では、米2年債と10年債の利回りが住宅バブル崩壊が始まった2007年以来で初めて逆転。「逆イールド(長短金利の逆転)」は景気後退の前兆とみなされるため、投資家のリスク回避スタンスも鮮明化した。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は、前日比でプラス26.14%の22.10ポイントに急上昇し、再び20を上回っている。
 一方、14日の本土株市場では、主要指標の上海総合指数が0.4%高と反発。米中対立の警戒感がやや後退した。米通商代表部(USTR)は13日、中国製の輸入品3000億米ドル相当に10%の追加関税を課す制裁措置「第4弾」を9月1日付で発動することに関し、一部品目の課税を12月15日に延期すると発表した。また、中国商務部は13日、米中の高官が通商問題で電話協議したと公表。トランプ米大統領は協議について、「非常に生産的な内容だった」と評価した。ただ、上値は重い。中国の景気先行きが改めて不安視された。取引時間中に発表された7月の中国経済統計では、小売売上高や鉱工業生産が大幅に下振れている。
 香港情勢を巡っては、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に端を発した反対派の抗議行動が連日にわたり実施されている状況だ。中国共産党機関紙の人民日報は12日、香港に隣接する深センに人民武装警察(武警)の車両が集結している映像を公開し、反対派をけん制。米国務省の報道官は14日、「深い懸念」を表明した。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として苦戦を強いられる展開か。上述したように、世界景気の先行き不安が投資家のセンチメントを冷やしそうだ。また香港では昨日引け後、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が4〜6月期決算を報告。売上高の伸びが市場予想を下回るなか、時価総額上位の同社株に売りが広がれば、全体相場の下押し要因となろう。


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