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2019/08/13 09:06

売り先行か、悪材料が重なる 無料記事

◆13日の香港マーケットは、悪材料が重なるなかでリスク回避スタンスが強まる流れか。
 外部環境はネガティブ。昨夜の米株市場は主要指標のNYダウが前営業日比1.5%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.2%安とそろって続落した。米中対立の長期化で世界景気が停滞するとの懸念が強まっている。米ゴールドマン・サックスのエコノミストは最新リポートで、米中貿易戦争により景気後退のリスクが高まっていると指摘し、「2020年の米大統領選までに通商合意はなされない」との見方を示した。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は、前日比でプラス17.36%の21.069ポイントに急上昇し、再び20を上回っている。
 米中関係を巡っては、通商や通貨に続き、人権面での対立も表面化。香港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に端を発したデモが長期化し、警官隊との衝突も激しくなっている。そのことに関し、米共和党トップのマコネル米上院総務は12日、「いかなる武力弾圧も絶対に容認できない」と表明した。他方、中国当局は、2カ月に及ぶ反政府抗議行動に対し、「テロの兆し」が見られ始めたとの認識を示している。香港国際空港では12日夕方、デモの影響により全便が欠航となった。
 一方、12日の本土株市場では、主要指標の上海総合指数が1.5%高と反発。市場活性化の期待が強まっている。中国証券監督管理委員会は9日、株式信用取引の規制を緩和すると発表した。また、中国人民銀行(中央銀行)の資金供給もプラス。人民銀は12日、リバースレポを通じ300億人民元の資金を市中に供給している。為替動向については、人民銀は朝方、人民元の対米ドル基準値を7.0211人民元と8営業日連続で元安方向に設定したが、市場予想の中央値(7.029人民元)ほど元安ではなかった。ただ、上海外国為替市場では元安が進み、12日の取引では一時11年5カ月ぶりの安値を付けている。
 なお、昨日引け後に公表された7月の金融統計では、人民元建て新規融資額が予想以上に前月から縮小。内需の弱さが露呈した格好だ。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として苦戦を強いられそうだ。上述したように、米中対立の激化や中国景気の先行き不透明感、香港の社会不安が相場の重しとなる。人民元相場の動向も気がかりだ。


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