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2019/10/09 08:55

売り先行か、米中貿易摩擦の長期化を警戒 無料記事

◆9日の香港マーケットは、米中貿易摩擦の長期化懸念が重しとなる展開か。
 外部環境はネガティブ。昨夜の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比1.2%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.7%安とそろって続落した。米国の中国に対する強硬スタンスが投資家心理を冷やしている。米商務省は7日、「中国は新疆ウイグル自治区で少数民族を弾圧している」として、セキュリティ機器大手の杭州海康威視数字技術(ハンジョウ・ハイクビジョン・デジタル・テクノロジー:002415/SZ)など合計28の企業・団体に事実上の禁輸措置を導入する方針を公表。さらに8日、ウイグル弾圧に関係した中国当局者(家族も含む)への査証(ビザ)発給を制限すると発表した。中国側は「内政問題だ」として猛反発。香港英字紙は、「中国の通商交渉団がワシントンでの滞在期間を短縮することを検討中」と伝えた。市場では、「協議が進展すれば15日に予定している対中関税の引き上げが延期される」との見方が出ていただけに、貿易摩擦のさらなる激化が不安視されている。閣僚級の協議は10〜11日にワシントンで開催される予定だ。
 一方、国慶節連休明け8日の本土株市場では、主要指標の上海総合指数が0.3%高と反発。経済成長の鈍化を示唆する経済統計が相次ぐなかで、当局による景気テコ入れ期待が改めて強まった。市場参加者の間では、新たな指標金利「ローンプライムレート(LPR)」(毎月20日に発表)について、今月以降も引き下がるとの見方が流れている。
 香港情勢も不透明。香港警察は8日、デモ参加者がマスクやヘルメットを着用することを禁じる「覆面禁止法」に違反したとして、5日の施行以来で77人を逮捕したと報告した。過激な抗議行動は収まらず、地下鉄駅の一部は8日現在でも閉鎖されている。域内経済への悪影響も顕在化する状況だ。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として苦戦を強いられそうだ。上述したように、「米中協議が難航する」との警戒感が相場の足かせとなる。中国をはじめ、世界的に金融緩和の観測が強まっていることはプラス材料となるものの、閣僚級の協議を前に買い意欲は盛り上がらないだろう。


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