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2018/07/11 08:48

売り先行か、米中貿易戦争に警戒感 無料記事

◆11日の香港マーケットは、米中貿易戦争の不安で売られる展開か。
 外部環境には好悪材料が入り混じる。まず、米企業業績に対する期待感が高まっていることはプラスだ。今週後半から本格化する米主要企業の4〜6月期決算では、多くの企業が大幅増益を達成したとみられている。先行して発表された食品・飲料ペプシコの決算では、1株利益が予想を上回った。消費関連全般に買いが入り、全体相場を押し上げている。
 半面、米中関係の悪化懸念はマイナス。トランプ米政権は朝方(日本時間)、新たに10%の追加関税を課す中国製品2000億米ドル相当の対象リストを公表した。米政権はすでに中国の知的財産権侵害に対抗するとして、500億米ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課すことを決定(うち340億米ドル分は7月6日に発動)。中国側も同規模の対抗措置を打ち出していた。米政権は中国側の対抗姿勢に対し、一段の強硬策をとった格好。貿易戦争の警戒感が一段と強まった。
 一方、10日の本土株市場では主要指標の上海総合指数が0.4%高と3日続伸している。人民元安の不安後退や、中国指標の上振れが買い安心感につながった。この日発表された6月の中国物価統計では、企業活動環境の指標となる生産者物価指数(PPI)が前年同月比で4.7%上昇し、市場予想(4.5%)を上回る伸びとなったことが明らかにされた。「中国経済のファンダメンタルズは良好」との見方が広がっている。前日に急伸した反動で売られる場面がみられたものの、終盤に入り、指数は再びプラスに転じた。
 こうした内外環境の下、本日の香港マーケットは売りが先行する可能性が高い。前述したように、米中の関税応酬が懸念される状況だ。先ごろ発表された中国国際金融(CICC)の分析リポートでは、「米中双方が各2000億米ドルの輸入品に10%の追加関税を課す」ことが決まった場合、本土系銘柄の増益率は7.6%(↓21.0ポイント)に減速し、GDP成長率は1.4ポイント鈍化するとの見方が示されている。
 本土マーケットも軟調か。企業業績の期待感は強まっているものの、香港と同様に米中貿易戦争の危機感が相場の重しとなりそうだ。


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