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2021/09/10 08:54

方向感を欠く展開か、好悪材料が入り混じる 無料記事

◆10日の香港マーケットは、好材料と悪材料の綱引きで方向感を欠く展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はやや不透明。昨夜の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.4%安と4日続落し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数も0.3%安と続落した。米景気の回復ペース鈍化を警戒した売りが続く。新型コロナ変異ウイルス(デルタ株)の感染拡大を理由に、アナリストらからは年後半の米経済成長率見通しを引き下げる動きが相次いでいる。雇用指標の改善を手がかりに買われる場面もあったが、売り圧力は強かった。米労働省が9日発表した新規失業保険申請件数(週間)は、予想以上に前週から減少。新型コロナウイルス感染が拡大した昨年3月以降で最少となった。ただ、減少したのは大型ハリケーン「アイダ」の影響で申請ができなかったためとの見方もあり、減少継続の期待は盛り上がっていない。
 一方、中国国内には好悪材料が入り混じっている。まず、産業締め付けの動きに収束の兆しがみられないことはマイナスだ。香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは9日午後、消息筋情報として、「中国政府は、オンラインゲームの審査・承認を一時的に停止したもよう」と報道(同紙はその後、審査「一時停止」から「遅延」に記事内容を訂正)。それに先立つ8日、中国国営メディアが報じたところによれば、中国共産党中央委員会と政府の関係部局はオンラインゲームやライブプラットフォームの各企業を呼び出し、未成年者に対する規制などを確実に実施するよう指導した。また交通運輸部は、配車サービス業界の違法取締りを強化すると発表している。他方、経済対策の期待感は根強い。中国人民銀行(中央銀行)は9日、中小零細企業の低利借り換えを促すため3000億人民元の資金枠を設けると発表した。市場では、「早ければ9月中にも預金準備率や政策金利が引き下げられる」との観測も流れている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは好悪材料が入り混じる中で方向感を欠く展開か。中国経済対策の期待感が強まる半面、中国産業締め付けや米景気の鈍化懸念もくすぶっている。また、非鉄など原材料価格の高止まりに関しても明暗が分かれるだろう。「川上産業」にとっては追い風だが、「川下産業」にとっては逆風だ。


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