◆週明け16日の香港マーケットは、米ハイテク株高でしっかりか。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境は安定的。先週末の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比1.5％高と7日ぶりに反発し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が3.8％高と続伸した。積極的な米金融政策の警戒感が薄らぐ中、ハイテク株が大幅上昇し相場を支えている。パウエル米連邦準備理事会（FRB）議長はラジオインタビューで、「0.75％利上げは検討していない」と再び表明。市場に買い安心感が広がった。米株市場の不安心理を表すVIX（20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」）は28.87となり、前日比で9.13％下落。警戒水域と言われる30を下回った。
　中国国内の環境も悪くない。国内景気の先行き不安は依然としてくすぶるものの、新型コロナウイルス禍による景気腰折れを回避するため、このところ政府関係部局は雇用やインフラ投資、産業支援、消費振興などに向けた対策を相次ぎ発表している。金融当局は15日、1軒目住宅ローン金利の下限を引き下げると発表。新築マンション販売のテコ入れを図る構えだ。それより先、人民銀の副総裁は12日、貸出金利をさらに引き下げることに言及し、政策金利の引き下げを示唆している。銀行貸し出しの指標となる最優遇貸出金利「ローンプライムレート（LPR）」は来週20日に公表される予定だ。
　なお本日は取引時間中（日本時間11時ごろ）に今年4月の中国経済統計（小売売上高や鉱工業生産など）がまとめて公表される予定。最新のコンセンサス予想では各指標が前回実績を下回る見込みで、中でも小売売上高はマイナス6.6％と減少幅が前回（マイナス3.5％）から拡大すると予想されている。なお、先週公表された同月の金融統計に関しては、国内金融機関の新規融資が市場予想を大幅に下回る半面、マネーサプライ（通貨供給量）M2の伸び率は予想を上回った。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体としてしっかりとした展開か。中国経済対策の期待感が持続しているほか、米ハイテク株高が好感されそうだ。ただ、中国経済統計には注意したい。内容次第では、売り材料として意識される恐れもあろう。


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