◆休場明け10日の香港マーケットは、米中景気の先行き不安で売り先行する流れか。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境はネガティブ。昨夜の米株市場では、主要指標のNYダウが前日比2.0％安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が4.3％安とそろって大幅に3日続落した（それぞれ年初来安値を更新）。世界景気の先行き不安が高まっている。インフレの高進や積極的な金融引き締めに対する警戒感が根強い中、金利高が経済成長の足かせになると悲観された。米10年債利回りは高止まりし、一時、約3年半ぶりの高水準を付けている。また、欧州でもドイツ10年債利回りが一時8年ぶりの高い水準に達している。ほか、中国の貿易統計が悪化したこともマイナス材料だ。
　中国で昨日公表された今年4月の貿易統計は、輸出の伸びが元建てベースで1.9％にとどまり、前月の12.9％から予想（3.1％）以上に大幅鈍化している。新型コロナウイルス感染対策の強化が影響した。コンテナ取扱量で世界トップの上海港を擁する上海市では、事実上のロックダウン（都市封鎖）が3月末から継続している。
　ただ、経済対策の期待感は根強い。コロナ禍による景気腰折れを回避するため、政府は雇用やインフラ投資、消費振興などに向けた対策を矢継ぎ早に発表している。直近では、政府系メディアが9日、「李克強・首相は雇用安定化の政策を優先するよう地方政府に指示した」と報じた。
　こうした中、本日の香港マーケットは売りが先行する流れか。上述したように、世界景気の先行き不安が投資家心理の重しとなろう。本土マーケットの上値が重そうだ。前日は政策期待で小反発したものの、景気先行き不安が改めて意識されよう。


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