◆31日の香港マーケットは、外部環境の不透明感で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境はやや不透明。昨夜の米株市場では、主要指標のNYダウが前日比0.2％安と5日ぶり、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は1.2％安と3日ぶりにそれぞれ反落した。ウクライナ情勢を巡る楽観が後退する中、足もとで買いの目立っていた銘柄群が反動売りに押される。停戦交渉で軍事行動の縮小を表明したロシアは翌日以降も、東部を中心に激しい戦闘行為を継続した。米ホワイトハウスの報道官は30日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する制裁強化を検討している――と述べている。
　対中圧力も不安視。米証券取引委員会（SEC）は30日、「外国企業説明責任法（HFCAA）」に抵触する上場企業の暫定リストに百度集団（バイドゥ：9888/HK、BIDU/NASDAQ）など複数の企業を追加した。米市場で百度のADRは2.6％安で取引を終えている。
　一方、内部的には経済対策の期待感が強まる状況。中国国営テレビは30日、政府は経済安定化策を早期に導入する方針を示した――と伝えた。また、中国人民銀行（中央銀行）は30日、リバースレポを通じ満期分との差引で1300億人民元を市中供給。証券専門紙は29日までに、「4〜6月期の流動性を確保するため、近く預金準備率を引き下げる可能性がある」などと報じている。
　なお、香港では21年12月期決算が本日出揃う。きょう31日は、中国海外発展(688/HK)や世茂集団HD(813/HK)、中国石油天然気(857/HK)、中国生物製薬(1177/HK)、広州富力地産(2777/HK)、雅居楽集団HD(3383/HK)などが通期決算を発表する。
　また、中国本土では本日朝方（日本時間10時半ごろ）、3月の中国製造業PMI（国家統計局などが集計）が公表される予定。市場コンセンサスでは、2月からやや低下する見込みだ。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値が重い展開となろう。上述したように、外部環境の不透明感が投資家心理を冷やしそうだ。目先は業績動向を手がかりにした物色か。前日引け後に発表された決算では、江西カン鋒リ業（ガンフェン・リチウム：1772/HK）や龍源電力集団（916/HK）などが市場予想を上回った。


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