◆29日の香港マーケットは、米株高を好感し底堅く推移か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境は安定的。昨夜の米株市場では、主要指標のNYダウが前日営業比0.3％高と3日続伸し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.3％高と反発した。インフレ高進の警戒感がやや後退。米10年債利回りの上昇は一服し、WTI原油先物は7.0％安と急反落した。米大統領経済諮問委員会（CEA）の委員長は28日、足もとの物価上昇が続く可能性があるとした上で、インフレ率は1年内に緩和するとの見解を示している。金利低下を好感し、ハイテクなど高PER（株価収益率）のグロース（成長）株が大幅上昇した。個別では、株式分割の計画を明らかにした電気自動車のテスラが8％高と急伸している。米株市場の不安心理を表すVIX（20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」）は19.63となり、前日比で5.67％下落。約1カ月半ぶりに節目の20を下回った。
　内部環境もそれほど悪くない。新型コロナウイルス感染再拡大に歯止めがかからず、上海市が事実上のロックダウン（都市封鎖）に突入したことは不安材料となるものの、主要企業の決算上振れが相次いだことはプラス材料だ。前日のマーケットでは、増益決算と配当の増額見通しを材料に、中国石油化工（サイノペック：386/HK）や中国神華能源（1088/HK）などが急伸している。
　主要企業の決算報告が佳境に入る中、本日は、東風汽車集団(489/HK)や中国建設銀行(939/HK)、快手科技(1024/HK)、洛陽玻璃(1108/HK)、比亜迪(1211/HK)、新華人寿保険(1336/HK)、華虹半導体(1347/HK)、長城汽車(2333/HK)、中銀香港(2388/HK)、中国銀行(3988/HK)、海通証券(6837/HK)などが通期決算の発表をする予定だ。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として底堅い展開か。昨夜の米株高が好感されそうだ。また、業績動向を手がかりにした物色も引き続き活発化しよう。前日引け後に発表された決算では、京東健康（JDヘルス・インターナショナル：6618/HK）と小鵬汽車（エックスポン：9868/HK）が赤字縮小、保利協キン能源HD（GCLポリー・エナジー：3800/HK）が黒字転換、青島ビール（168/HK）が43％増益などとなっている。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。