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2023/05/12 09:08

買い先行か、京東集団ADRは急伸 無料記事

◆12日の香港マーケットは、中国株ADRが上昇した流れを継ぎ買い先行か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は中立。11日の米株市場は、好材料と悪材料の綱引きで方向感を欠いている。主要指標のNYダウが前日比0.7%安と4日続落する半面、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.2%高と続伸し、小幅ながら連日で年初来高値を更新した。米地銀を巡る金融不安が再燃したことはマイナス。米地銀のパックウエスト・バンコープは11日、5日時点の預金残高が前週比で1割減少したことを明らかにし、同社株は23%近く急落した。他の金融株にも売りが波及している。また、米債務上限問題がくすぶっているほか、米景気不安が浮上していることも重し。米労働省が11日発表した新規失業保険申請件数(週間)は予想以上に増加し、2021年10月以来の高水準に達した。一方、インフレ一服は好材料。消費者物価指数(CPI)に下振れに続き、4月の卸売物価指数(PPI)上昇率(前月比)も予想を下回った。依然として高止まりしているものの、鈍化傾向が示されたとして、米債券市場では米10年債利回りの低下が続いている。高PER(株価収益率)のグロース(成長)株などにとっての追い風となった。
 ほか、中国銘柄も堅調推移。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は3.8%上昇した。電子商取引(Eコマース)大手の京東集団(JDドットコム:9618/HK、JD/NASDAQ)は1〜3月期決算で売上高と1株利益が予想を上回り、株価は7.2%高と急伸している。
 一方、内部的には景気不安が強まる状況。足もとで公表された経済指標では、中国経済持ち直しの鈍化が示されている。昨日引け後に報告された4月の金融統計では、国内金融機関の新規融資が市場予想を大きく下回り、マネーサプライ(通貨供給量)M2の伸びも予想を下回った。直近で発表された物価や貿易の統計でも、内需の弱さが示されている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは買いが先行しそうだ。上述したように、中国株ADRや米ハイテク株の上昇が材料視されよう。ほか、中国で公表された一連の経済指標が弱い内容となったことを受け、経済対策の期待感も高まっている。また、懸念されている米中緊張の警戒感もひとまず後退しそうだ。中国外交部の王毅・部長とサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10〜11日の2日間、ウイーンで会談。ホワイトハウスは「会談は建設的だった」と評価した。


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