◆23日の香港マーケットは、中国経済対策の期待感で底堅い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境には不透明感が漂う。22日の米株市場は、米債務上限問題を巡る与野党協議をにらみながら方向感を欠く値動きだった。主要指標のNYダウが前営業日比0.4％安と続落する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.5％高と反発している。再開された事務レベルでの協議では、与野党が合意できなかった。バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長は、現地時間22日夕、トップ会談に臨む。進展を見極めたいとする投資家が多く、積極的な売買が手控えられた。早期に妥結できなかった場合、6月1日にも米国はデフォルト（債務不履行）に陥る。
　なお、マーケット引け後に終了したトップ会談については、合意に至らなかったと報じられた。ただ、双方とも「協議は建設的だった」と述べるなど合意期待は残る。また、バイデン大統領は一定の譲歩を示唆していることもあり、両者が歩み寄る可能性も高まる状況だ。
　一方、内部環境は悪くない。中国景気の先行き不安は続いているものの、同時に、当局の経済対策に対する期待感も高まっている。人民元安進行の過度な警戒感も後退。複数の為替ディーラーは19日、中国の主要国有銀行が人民元と米ドルのスワップ取引を活発化していると発言した。人民元為替レートの下落基調に歯止めをかけるため、中国の金融当局が働きかけたとの見方が広がっている。中国人民銀行（中央銀行）は22日朝方、人民元レートの対米ドル基準値を4日ぶりに元高方向に設定した。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として底堅い展開か。米債務上限問題を巡る警戒感はひとまず薄らいでいる。中国経済対策の期待感が相場を下支えしよう。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。