◆8日の香港マーケットは、米ハイテク株高を嫌気し上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境は中立。7日の米株市場は、景気期待と引き締め懸念が綱引きとなり、まちまちの展開となった。主要指標のNYダウが前日比0.3％高と続伸する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は1.3％安と反落している。カナダ銀行（中央銀行）は7日、政策金利を予想に反し3会合ぶりに引き上げた。前日の6日には、オーストラリア準備銀行（中銀）が2会合ぶりに利上げしている。世界経済が安定成長しているとの見方で、景気敏感株などは買われたが、金融引き締めの警戒感でハイテク株は売りに押された。米債券市場では、米10年債利回りが急上昇。高PER（株価収益率）のグロース株にとって逆風となっている。
　中国国内の環境も不透明。前日公表された5月の貿易統計では、人民元建て輸入が前月の0.8％減から2.3％増に改善したものの、輸出は前月の16.8％増から一転して0.8％減少した。先月に発表された各種経済統計が総じて弱いものだったこともあり、景気持ち直しに時間がかかると危惧されている。また、当局は景気支援のスタンスを強めているものの、不動産対策に関しては、中国国務院（政府）系「経済日報」が7日、「不動産支援策の効果が表れるには、ある程度の時間を要する」との論評記事を掲載した。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。米ハイテク株安が嫌気されるほか、人民元相場の動向も不安材料だ。また、あす9日に、5月の中国物価統計が報告されることも気がかり材料となろう。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。