◆31日の香港マーケットは、米株高を好感した買いが先行する流れか。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境はポジティブ。30日の米株市場は、金融不安の後退で投資家心理が改善し、主要指標のNYダウが前日比0.4％高、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.7％高とそろって続伸した（ナスダック指数は約1カ月半ぶり高値）。新たな金融機関の経営不安が見当たらず、銀行破綻の連鎖は止まったとの見方が優勢。米連邦準備理事会（FRB）の銀行緊急借入が減少したことで、金融を巡る混乱が収束しつつあると分析された。ただ、利上げ継続の警戒感はくすぶっている。米労働省が30日発表した新規失業保険申請件数（週間）は予想以上に前週から増加したが、依然として高水準。インフレ高止まりが不安視される中で、指数の上値は限定された。
　一方、中国では本日（日本時間午前10時30分ごろ）、3月の製造業購買担当者景気指数（PMI、国家統計局などが集計）が公表される予定。直前の市場コンセンサス予想では、製造業PMIが51.6（前回52.6）、非製造業PMIが55.0（前回56.3）にそれぞれ低下する見込みだ。
　また、香港では上場する主要企業の12月期決算が本日中に出揃う。これまでのところ、業績改善を示す報告が相次いでいる。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体としてしっかりとした展開か。昨夜の米株高や、香港上場企業の好決算が相場を支えそうだ。また、テック銘柄の値動きにも注目したい。中国電子商取引（Eコマース）大手の京東集団（JDドットコム：9618/HK）は30日引け後、不動産、産業サプライチェーン技術・サービスをそれぞれ手がける子会社2社を分離し、香港メインボードに上場させる計画を明らかにした。これより先には、同業最大手の阿里巴巴集団HD（アリババ・グループ・ホールディング：9988/HK）がオンライン通販やクラウド、物流など6つの事業グループに分割・再編すると発表。市場関係者の間では、成長性を追求すると同時に、規制面での逆風を緩和する狙いで、テック大手が事業再編に着手したと指摘されている。


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