◆週明け13日の香港マーケットは、中国の政策期待で下値の堅い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境はネガティブ。10日の米株市場は、米地銀の経営破綻でリスク回避スタンスが強まる中、主要指標のNYダウが前日比1.1％安と4日続落し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数も1.8％安と続落している。米連邦預金保険公社（FDIC）は10日、米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ（SIVB）傘下のシリコンバレー銀行（SVB）が経営破綻し、事業を停止したと発表。同金融機関の破綻は、金融危機（リーマンショック）以降で最大となり、金融システム不安がよぎった。上場するSIVB株は取引を一時停止。地銀株を中心に金融株が大幅に下げた。
　他方、2月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が予想を上回ったものの、賃金の伸び率は鈍化し、失業率も予想以上に上昇。市場では「米連邦準備理事会（FRB）が利上げペースを再加速させるほどの内容ではない」との見方が広がり、米債券市場では、債券利回りが急低下した。NYダウは一時、上昇する場面もみられている。
　一方、中国では政策動向に注目が集まる状況。本日午前、全国人民代表大会（全人代、国会に相当）が閉幕する。閉幕後に、新しく任命された李強・首相が記者会見する予定となっている。なお、全人代で12日、中国人民銀行（中央銀行）の総裁に易綱氏、財政部の部長に劉昆氏が留任すると決定された。予想外の人事となったことで、「金融政策の連続性が重要視された」との見方が出ている。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として下値の堅い展開か。中国の経済政策に対する期待感が根強いほか、指数は先週の下げが大きかったこともあり（ハンセン指数は4日続落で年初来安値、上海総合指数は5日続落で3週ぶり安値）、自律反発狙いの買いも入りやすい。米地銀の経営破綻は懸念材料となるが、イエレン米財務長官は12日、パウエルFRB議長、グルーエンFDIC総裁と連名で、SVBの預金を完全に保護すると声明するなど、過度な不安は薄らぐ可能性もある。


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