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2023/11/09 08:50

神経質な値動きか、内外に気がかり材料 無料記事

◆9日の香港マーケットは、中国景気や米国金融の動向をにらみながら神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は不透明。8日の米株市場は、新規の取引材料に乏しい中で方向感を欠く展開だった。主要指標のNYダウが前日比0.1%安と8日ぶりに反落する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.1%高と9日続伸している。米ニューヨーク連銀のウイリアム総裁など金融関係者の発言が相次いだものの、目新しい内容はなかった。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は9日、国際通貨基金(IMF)会合のパネル討論会に出席する予定。金融政策に対する言及が気がかりだ。ただ、原油安(WTI原油先物は2.6%安と続落、一時7月以来の安値)を受けインフレ懸念が後退し、米債券市場では米10年債利回りが一段と低下。ハイテクなど高PER(株価収益率)のグロース(成長)株などにとっての追い風となった。
 一方、中国では本日(日本時間午前10時半ごろ)、10月の物価統計が発表される予定。市場コンセンサス予想では、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比マイナス0.1%(前月は横ばい)、生産者物価指数(PPI)がマイナス2.7%(同マイナス2.5%)で着地すると見込まれている。予想通りなら、CPIの下落は今年7月以来、3カ月ぶり。PPIの下落幅拡大も確認された場合、中国経済の弱さが露呈する格好だ。先ごろ公表された10月の貿易統計は、輸入がプラス成長を回復したものの、輸出は減少が続いている。また、官民が公表した10月の景況感指数はそろって悪化した。
 他方、中国当局の景気支援スタンスは強まっている。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は10月24日、1兆人民元(約20兆5000億円)規模の国債増発を承認した。このことなどを受け、国際通貨基金(IMF)は11月7日、中国経済の成長見通しを2023年は5.0%→5.4%、24年は4.2%→4.6%にそれぞれ上方修正している。また、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は8日、中国政府が掲げるGDP成長目標「5%前後」は達成できると自信を示した。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。中国物価統計や、パウエルFRB議長発言などが気がかり材料となりそうだ。ただ、中国経済対策の期待感や、米10年債利回りの低下などは支えとなろう。


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