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2023/11/17 08:54

神経質な値動きか、好悪材料が交錯 無料記事

◆17日の香港マーケットは、好悪材料が入り混じる中で神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は中立。16日の米株市場は、企業業績の不透明感と米利上げサイクルの終了期待が綱引きとなり、全体として方向感を欠く展開だった。主要指標のNYダウが前日比0.1%安と5日ぶりに反落する半面、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.1%高と3日続伸している。企業業績を巡っては、通期の売上高見通しが予想を下回ったネットワーク機器のシスコシステムズが9.8%安、通期利益に慎重な見方を示した小売のウォルマートが8.1%安とそれぞれ急落し、NYダウの重しとなった。一方、米金利低下はハイテクなど高PER(株価収益率)のグロース(成長)株にとっての追い風となっている。弱い経済指標が相次ぐ中、米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルは終了したとの見方が一段と高まり、米債券市場では米10年債利回りが急低下した。米労働省が16日発表した新規失業保険申請件数(週間)は前週から予想以上に増加し、8月以来の高水準となっている。
 米中対立の改善期待はやや後退。米中首脳会談では、ハイレベルの軍事対話を再開させることで合意したが、台湾海峡や輸出規制などで隔たりは大きかった。また、バイデン米大統領は会談後の記者会見で、習近平・国家主席を再び「独裁者」と発言。これに対し、中国外交部の毛寧・副報道局長は16日の記者会見で、「極めて無責任な発言」と猛反発した。
 内部環境はそれほど悪くない。中国景気の鈍化懸念が強まる中、当局は景気対策を強める見通しだ。専門家や関係者の話として、預金準備率の年内引き下げや、不動産支援に向け大規模な低金利資金の投入などが実施されるという。
 なお、中国人民銀行(中央銀行)は週明け20日、実質的な政策金利となる最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」を発表する予定。1年物、5年物いずれも現行水準(それぞれ3.45%、4.20%)に据え置きが予想されている。
 こうした中、本日の香港マーケットは全体として神経質な値動きか。米金利低下は好感されそうだが、米中対立の改善期待が後退したことは懸念材料だ。
 個別株動向も気がかり。電子商取引(Eコマース)中国最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)が昨日引け後に公表した決算は市場予想を上回る内容だったが、同時に計画していたクラウド事業の分離・独立(スピンオフ)を断念することを明らかにした。昨夜の米市場では同社のADR(米国預託証券)が9.1%下落した。


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