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2024/11/20 08:50

上値の重い展開か、東欧の地政学リスクを警戒 無料記事

◆20日の香港マーケットは、東欧の地政学リスクで上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はやや不透明。19日の米株市場は、東欧地域の地政学リスクと半導体大手の決算期待が綱引きとなる展開だった。主要指標のNYダウが前日比0.3%安と4日続落する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は1.0%高と続伸している。ロシア国防相は19日、ウクライナ軍がロシア西部の軍事施設を狙い、米国製の長距離地対地ミサイル「ATACMS」を撃ち込んだと発表。米政府は17日、長距離射程兵器でロシア領内を攻撃することを許可していた。これを受けて、ロシアは19日、核兵器の使用条件を定めた「核ドクトリン」を改訂。核使用のハードルを下げた。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナを支援する欧米も核攻撃の対象となることを示唆している。ただ、現時点で情勢緊迫化のニュースは伝わっておらず、NYダウは売り一巡後に下げ渋った。また、翌日に四半期決算を発表する半導体大手のエヌビディアが4.9%上昇。ハイテク株全般に買いが波及した。
 中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.8%安と3日ぶりに反落した。
 主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車(XPEV/NYSE、9868/HK)が4.1%安、ビリビリ(9626/HK、BILI/NASDAQ)が3.0%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)が2.5%安と下げが目立っている。
 商品相場に関しては、原油相場が0.3%高と続伸し、金先物も続伸。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇した。
 一方、内部的には目立った新規材料に乏しい。預金準備率の再引き下げなど、追加経済対策に対する期待感は根強いものの、当局からの発表はまだみられない状況だ。
 なお、中国ではきょう20日(日本時間10時ごろ)、実質的な政策金利となる11月の最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」が発表される。銀行貸出の指標となる1年物LPRは3.10%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRは3.60%に据え置かれる見通し。10月のLPRは、1年物、5年物とも予想以上に引き下げられていた。
 そのほか、香港では、主要な上場企業の四半期決算発表が進んでいる。きょう20日は快手科技(1024/HK)や蔚来集団(9866/HK)、21日は百度集団(9888/HK)などが報告する予定。前日報告された決算では、オンラインゲーム事業・アプリケーション・ソフト開発の金山軟件(3888/HK)が利益15倍と業績成長が目立っている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。米ハイテク株高や、中国の追加経済対策に対する期待感は支えになりそうだが、東欧地域の地政学リスクがマイナス材料として意識されよう。また、トランプ次期米政権の重要ポストに対中強硬派が相次ぎ登用される中、両国の対立激化の懸念もくすぶっている。


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