2024/10/15 08:42
上値の重い展開か、中国の景気鈍化を警戒
◆15日の香港マーケットは、中国の景気鈍化懸念で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
外部環境は良好。14日の米株市場は、企業決算の改善期待で買いが継続する展開だった。主要指標のNYダウが前営業日比0.5%高と続伸し、連日で史上最高値を更新。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も0.9%高と続伸し、最高値に迫った。また、機関投資家がベンチマークとして重要視するS&P500指数が0.8%上昇し、連日で最高値を更新している。主要企業の決算報告がシーズン入りする中、先行して公表された大手銀の業績上振れを受け、これから公表される企業決算に対する期待も高まった。個別では、次世代AI(人工知能)半導体「ブラックウエル」がフル生産中と伝わったエヌビディアが2.4%高。上場来高値を更新した。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は前日比で3.71%低い19.70で終了。節目の20を割り込むのは10月4日以来だ。
半面、中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は2.1%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車(エックスポン:9868/HK、XPEV/NYSE)が9.8%安、蔚来汽車(9866/HK、NIO/NYSE)が7.2%安、百度(バイドゥ:9888/HK、BIDU/NASDAQ)が4.5%安、ビリビリ(9626/HK、BILI/NASDAQ)が3.6%安などと値を下げている。
中国国内の環境は好悪材料が入り混じる状況だ。デフレ脱却の期待が遠のいたことや、中国景気の鈍化懸念がくすぶっていることはマイナス。13日に公表された9月の物価統計は消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比0.4%となり、市場予想(0.6%)を下回った。生産者物価指数(PPI)はマイナス2.8%となり、予想(マイナス2.6%)以上に低下している。14日引け後に発表された9月の貿易統計は米ドル建て輸出が2.4%増にとどまり、予想(6.0%増)を大幅に下回った。輸入も0.3%増と伸び悩んでいる(予想は0.7%増)。
半面、政策期待は根強い。週末12日に開かれた財政部の会見では、財政支援で景気を支える方針が示されたが、具体的な規模などに言及がなく、ポジティブサプライズには欠けたものの、市場では、10月末に開かれる全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の承認を待って、財政出動の規模など具体的な内容が明らかにされる可能性が指摘されている。また、中国工業情報化部の汪江平・副部長は14日午前の記者会見で、第4四半期(10〜12月)に関連部門と連携し、消費の促進と内需の拡大を図るための具体的な措置をさらに打ち出す方針を表明した。こうした中、ゴールドマン・サックス(GS)は最新リポートで、中国の2024年、25年経済成長見通しを上方修正している。GSは一連の景気刺激策について、中国当局が循環的な政策運営を転換し、経済重視のスタンスを強めていることを裏付けていると指摘した。
なお、中国では今週18日(日本時間11時ごろ)、各種経済指標が集中して報告される。9月の小売売上高や鉱工業生産などのほか、第3四半期のGDP成長率などだ。注目のGDP成長率に関しては、前四半期(4.7%)から減速するとの見方がコンセンサスとなっている。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。中国の景気鈍化懸念が相場の足かせとなりそうだ。週末の経済指標発表も気がかり材料として意識されよう。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境は良好。14日の米株市場は、企業決算の改善期待で買いが継続する展開だった。主要指標のNYダウが前営業日比0.5%高と続伸し、連日で史上最高値を更新。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も0.9%高と続伸し、最高値に迫った。また、機関投資家がベンチマークとして重要視するS&P500指数が0.8%上昇し、連日で最高値を更新している。主要企業の決算報告がシーズン入りする中、先行して公表された大手銀の業績上振れを受け、これから公表される企業決算に対する期待も高まった。個別では、次世代AI(人工知能)半導体「ブラックウエル」がフル生産中と伝わったエヌビディアが2.4%高。上場来高値を更新した。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は前日比で3.71%低い19.70で終了。節目の20を割り込むのは10月4日以来だ。
半面、中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は2.1%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車(エックスポン:9868/HK、XPEV/NYSE)が9.8%安、蔚来汽車(9866/HK、NIO/NYSE)が7.2%安、百度(バイドゥ:9888/HK、BIDU/NASDAQ)が4.5%安、ビリビリ(9626/HK、BILI/NASDAQ)が3.6%安などと値を下げている。
中国国内の環境は好悪材料が入り混じる状況だ。デフレ脱却の期待が遠のいたことや、中国景気の鈍化懸念がくすぶっていることはマイナス。13日に公表された9月の物価統計は消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比0.4%となり、市場予想(0.6%)を下回った。生産者物価指数(PPI)はマイナス2.8%となり、予想(マイナス2.6%)以上に低下している。14日引け後に発表された9月の貿易統計は米ドル建て輸出が2.4%増にとどまり、予想(6.0%増)を大幅に下回った。輸入も0.3%増と伸び悩んでいる(予想は0.7%増)。
半面、政策期待は根強い。週末12日に開かれた財政部の会見では、財政支援で景気を支える方針が示されたが、具体的な規模などに言及がなく、ポジティブサプライズには欠けたものの、市場では、10月末に開かれる全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の承認を待って、財政出動の規模など具体的な内容が明らかにされる可能性が指摘されている。また、中国工業情報化部の汪江平・副部長は14日午前の記者会見で、第4四半期(10〜12月)に関連部門と連携し、消費の促進と内需の拡大を図るための具体的な措置をさらに打ち出す方針を表明した。こうした中、ゴールドマン・サックス(GS)は最新リポートで、中国の2024年、25年経済成長見通しを上方修正している。GSは一連の景気刺激策について、中国当局が循環的な政策運営を転換し、経済重視のスタンスを強めていることを裏付けていると指摘した。
なお、中国では今週18日(日本時間11時ごろ)、各種経済指標が集中して報告される。9月の小売売上高や鉱工業生産などのほか、第3四半期のGDP成長率などだ。注目のGDP成長率に関しては、前四半期(4.7%)から減速するとの見方がコンセンサスとなっている。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。中国の景気鈍化懸念が相場の足かせとなりそうだ。週末の経済指標発表も気がかり材料として意識されよう。
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