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2020/05/27 09:15

上値の重い展開か、「香港版国家安全法」に警戒感 無料記事

◆27日の香港マーケットは、「香港版国家安全法」を巡る警戒感で上値の重い展開か。
 外部環境はポジティブ。休場明けとなった昨夜の米株市場は、主要指標のNYダウが前営業日比2.2%高と3日ぶりに反発し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.2%高と続伸した。投資家のリスク選好が高まるなか、NYダウは約2カ月半ぶりの高値水準を回復している。行動規制解除の動きを好感。ニューヨーク証券取引所では26日、新型コロナウイルス感染拡大で停止していたフロアー・トレーディングが約2カ月ぶりの一部で再開された。厳しい規制を敷いていたカリフォルニア州では25日、閉鎖されていた小売店などの営業が許可されるなど、規制解除が進んでいる。また世界的には、英国で予定通り6月15日に外出制限緩和の第2弾が実施されることが確認され、日本では25日に緊急事態宣言の全面解除が発表された。コロナワクチン開発の期待も強まる。米バイオテクノロジー企業のノババックスは25日、新型コロナのワクチン候補について、ヒトでの治験を開始した。また、米製薬大手メルクは26日、ワクチンと治療薬の開発を強化する計画を発表している。
 他方、米中関係を巡っては、トランプ米大統領が26日の記者会見で、中国政府が香港の統制を強化する「香港版国家安全法」を施行した場合、週内にも中国に強力な制裁を科す可能性を示唆した。
 一方、26日の中国本土マーケットは、主要指標の上海総合指数が1.0%高と続伸。中国の政策期待が相場を支えた。全国人民代表委員会(全人代、国会に相当)が28日まで開催中とあって、これから明らかにされる具体的な経済政策が注目されている。中国人民銀行(中央銀行)の金融スタンスもプラス材料。人民銀は26日、公開市場操作(オペ)で7日物リバースレポを実施し、総額100億人民元(約1510億円)を市場に供給した。リバースレポの実施は3月31日以来、38営業日ぶりとなる。また人民銀の易綱総裁は26日、銀行貸し出しの新たな指標となる最優遇貸出金利「ローンプライムレート」の改革継続などを通じ、実質貸出金利の低下を促していく方針を改めて示した。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。上述した「香港版国家安全法」は全人代最終日に当たるあす28日に採決される見込みだ。米国の対中制裁に対する不安が高まれば、投資家のリスク回避スタンスにつながる。また香港では本日、「国歌法」の第2回審議が始まる予定。全人代の香港法案採決を前に、域内で抗議活動が予定されており、社会混乱の不安も意識されそうだ。


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