2024/11/11 08:51
売り先行か、内部環境に不透明感
◆週明け11日の香港マーケットは、内部環境の不透明感で売り先行か。(亜州リサーチ編集部)
外部環境はポジティブ。8日の米株市場は、次期トランプ政権の経済政策に対する期待感が相場を押し上げた。主要指標のNYダウは前日比0.6%高と反発し、再び史上最高値を更新。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.1%高と4日続伸し、連日で最高値を更新した。米大統領選でトランプ前大統領が勝利。減税や規制緩和などの経済政策を次期政権が打ち出すとみられる中、米経済の先行きも楽観視されている。
ただ、貿易戦争の警戒感は高まる状況だ。トランプ氏の公約では、中国からの輸入品に一律60%の関税をかけ、そのほかの国からの輸入品にも10〜20%の関税を課す。外電は8日、「第1次トランプ政権で通商代表を務めた対外強硬派のライトハイザー氏に、トランプ氏が次期政権での通商代表就任を要請した」と報じた。ほか、米商務省は半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC:2330/TW)に対し、人工知能(AI)などに使用する先端半導体を中国企業に出荷することを停止するよう命じた――とも伝わっている。
中国銘柄は急落。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は4.7%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、理想汽車(リ・オート:2015/HK、LI/NASDAQ)が7.7%安、京東集団(JDドットコム:9618/HK、JD:NASDAQ)が7.0%安、ビリビリ(9626/HK、BILI/NASDAQ)が6.4%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)が5.9%安と下げが目立っている。
商品相場に関しては、原油相場が2.7%安と反落し、金先物も反落。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が軒並み下落した。
一方、中国国内の環境は不透明。8日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の第12回会議では、地方政府の「隠れ債務」問題に対応するため、債務上限を引き上げなど10兆人民元規模の対策が発表されたが、市場への直接資金投入ではなく、全体として新味にも欠けたとの見方がアナリストに広がっている。また、中国のデフレ進行も懸念材料。9日に公表された10月の物価統計は、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比0.3%となり、市場予想(0.4%)を下回った。生産者物価指数(PPI)はマイナス2.9%となり、予想(マイナス2.5%)以上に低下している。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは売り先行か。中国経済対策の不透明感や、デフレ進行などが投資家心理を冷やしそうだ。また、通商上の米中対立も改めて不安材料として意識されよう。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境はポジティブ。8日の米株市場は、次期トランプ政権の経済政策に対する期待感が相場を押し上げた。主要指標のNYダウは前日比0.6%高と反発し、再び史上最高値を更新。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.1%高と4日続伸し、連日で最高値を更新した。米大統領選でトランプ前大統領が勝利。減税や規制緩和などの経済政策を次期政権が打ち出すとみられる中、米経済の先行きも楽観視されている。
ただ、貿易戦争の警戒感は高まる状況だ。トランプ氏の公約では、中国からの輸入品に一律60%の関税をかけ、そのほかの国からの輸入品にも10〜20%の関税を課す。外電は8日、「第1次トランプ政権で通商代表を務めた対外強硬派のライトハイザー氏に、トランプ氏が次期政権での通商代表就任を要請した」と報じた。ほか、米商務省は半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC:2330/TW)に対し、人工知能(AI)などに使用する先端半導体を中国企業に出荷することを停止するよう命じた――とも伝わっている。
中国銘柄は急落。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は4.7%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、理想汽車(リ・オート:2015/HK、LI/NASDAQ)が7.7%安、京東集団(JDドットコム:9618/HK、JD:NASDAQ)が7.0%安、ビリビリ(9626/HK、BILI/NASDAQ)が6.4%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)が5.9%安と下げが目立っている。
商品相場に関しては、原油相場が2.7%安と反落し、金先物も反落。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が軒並み下落した。
一方、中国国内の環境は不透明。8日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の第12回会議では、地方政府の「隠れ債務」問題に対応するため、債務上限を引き上げなど10兆人民元規模の対策が発表されたが、市場への直接資金投入ではなく、全体として新味にも欠けたとの見方がアナリストに広がっている。また、中国のデフレ進行も懸念材料。9日に公表された10月の物価統計は、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比0.3%となり、市場予想(0.4%)を下回った。生産者物価指数(PPI)はマイナス2.9%となり、予想(マイナス2.5%)以上に低下している。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは売り先行か。中国経済対策の不透明感や、デフレ進行などが投資家心理を冷やしそうだ。また、通商上の米中対立も改めて不安材料として意識されよう。
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