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2025/03/18 09:00

しっかりか、中国経済対策の期待感が支えに 無料記事

◆18日の香港マーケットは、中国経済対策の期待感でしっかりか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はそれほど悪くない。米景気後退(リセッション)の不安がひとまず後退している。17日公表された2月の米小売売上高は、前月比0.2%増にとどまり、市場予想(0.6%増)を下回ったが、1月の1.2%減(確報値)から持ち直している。また、自動車・同部品を除いたベースでは0.3%増と予想に一致した。米経済をけん引する個人消費は堅調だとの見方も広がっている。ただ、景気楽観には至っていない。経済協力開発(OECD)は17日、米国の高関税政策の悪影響を加味し、2025年の米経済成長見通しを下方修正した。
 17日の米株市場は、米消費の過度な懸念が薄らぎ、主要指標のNYダウが前営業日比0.9%高、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.3%高とそろって続伸している。
 中国銘柄もしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は4.0%高と続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が9.0%高、京東集団(JDドットコム:JD:NASDAQ、9618/HK)が4.8%高、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)が4.6%高と上げが目立っている。百度は16日、大規模言語モデル(LLM)の新製品を発表。DeepSeek(ディープシーク)モデルより大幅な低コストで、同等のパフォーマンスが実現できると伝わったことが材料視された。
 米債券市場では、米10年債利回りが低下(債券価格は反発)。景況感の悪化が債券買いを誘った。
 商品相場は、WTI原油先物が0.6%高と続伸し、金先物が0.2%高と5日続伸した。金先物は連日で過去最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、主要産品の値動きがまちまちだった。
 一方、内部環境も良好。中国国家発展改革委員会などは17日の記者会見で、国務院(内閣に相当)が公表した国民の所得向上と消費回復に向けた一連の措置について説明した。合理的な賃金引き上げや子育て世帯への支援などが盛り込まれている。中国指標も概ね改善。17日に発表された1〜2月の経済統計では、小売売上高が市場予想(3.8%増)を上回る4.0%増の8兆3731億人民元(約171兆8997億円)に拡大し、昨年12月の3.7%増から伸びが加速している。ほか、1〜2月の不動産開発投資額は前年同期比で9.8%減少したが、減少率は24年通期の10.6%から縮小した。
 なお、香港では主要企業の決算報告が本格化。きょう18日は小米集団(1810/HK)や閲文集団(772/HK)、小鵬汽車(9868/HK)、華潤ビールHD(291/HK)、中国聯通(762/HK)19日は騰訊HD(700/HK)や安踏体育用品(2020/HK)、中国平安保険(2318/HK)、金山軟件(3888/HK)、香港中華煤気(3/HK)、電能実業(6/HK)、20日は吉利汽車HD(175/HK)や中国生物製薬(1177/HK)、長江実業集団(1113/HK)、長江和記実業(1/HK)、恒基兆業地産(12/HK)、華潤電力HD(836/HK)、瑞声科技HD(2018/HK)、中国移動(941/HK)、21日は紫金鉱業集団(2899/HK)やTCL電子HD(1070/HK)、中国中煤能源(1898/HK)、中国神華能源(1088/HK)、中遠海運HD(1919/HK)、中遠海運港口(1199/HK)、洛陽欒川モリブデン業集団(3993/HK)、翰森製薬集団(3692/HK)などの期末決算が予定されている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体としてしっかりか。中国の消費刺激策を好感した買いが継続しそうだ。昨夜の米株高も支えとなろう。ただ、「トランプ関税」に端を発した貿易戦争のエスカレートに対する警戒感は根強く、上値を抑える一因となりそうだ。


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