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2025/04/14 08:48

神経質な値動きか、米関税政策に不透明感 無料記事

◆週明け14日の香港マーケットは、米関税政策を巡る警戒感で神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は不透明。トランプ米大統領は11日に「相互関税」からスマートフォンやコンピューターなど電子機器・部品を除外すると発表したが、13日には「除外した製品は『半導体関税』に移行するだけだ」と強調した。一方、米国が対中追加関税を計145%に引き上げたことに対抗し、中国財政部は11日、対米追加関税を84%→125%に引き上げると発表。両国の貿易はほぼストップし、経済のデカップリング(分断)が現実になる恐れが出てきた。ただ、中国側は、これ以上の関税応酬は意味がないとして、関税賦課は打ち止めにすると表明している。また、レビット米大統領報道官は11日の記者会見で、「大統領は中国との取引に前向きなことを明確にしている」と説明した。
 11日の米株市場は大手金融の好決算などを手がかりに、主要指標のNYダウが前日比1.6%高と反発。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も2.1%高と反発した。1株利益が予想を上回ったJPモルガンが4.0%上昇している。また、米連邦準備理事会(FRB)高官が11日、「必要とあれば市場を安定させる準備がある」と発言したことも好材料だ。
 中国銘柄もしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は1.7%高と反発した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が7.3%高、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が4.8%高、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が4.4%高と上げが目立っている。
 米債券市場では、米10年債利回りが上昇継続(債券価格は5日続落)。投資家の債券売りが続き、一時、今年2月中旬以来の高水準を付けた。
 商品相場は、WTI原油先物が2.4%高と反発し、NY金先物が2.1%高と4日続伸した。金先物は連日で史上最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が全面高だった。
 一方、内部環境は安定的。中国当局のマーケット支援スタンスがプラスだ。上場投資信託(ETF)市場活性化のため、欧米企業にマーケットメーカーとして参入を認めるなど規制緩和を検討していると伝わっている。また、これまでに、中国本土の上場企業が続々と自社株買い、または大株主による上場企業株の買い増しを明らかにした。
 中国では今週、重要経済指標の発表が相次ぐ。きょう14日に3月の貿易統計、16日に小売売上高や鉱工業生産、第1四半期GDP成長率などだ。貿易統計に関しては、米ドル建て輸出が前年同月比4.6%増(2月は3.0%元)、輸入が2.1%減(同1.5%増)で着地するとの予想が最新の市場コンセンサスとなっている。なお、先週末に報告された3月の金融統計では、人民元建て新規融資額が市場予想を上回った。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。中国の政策に対する期待感は根強いものの、米関税政策の不透明感が投資家心理の重しとなる。今週公表の中国指標も気がかり材料だ。


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