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2025/05/28 08:38

しっかりか、米株が急反発 無料記事

◆28日の香港マーケットは、米株高を手がかりにしっかりとした展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は安定的。米欧の貿易交渉が進展するとの期待が高まっている。トランプ米大統領が欧州連合(EU)からの輸入品に対する50%関税の発動を7月9日まで延期する(当初は6月1日)と表明する中、EU欧州委員会で貿易問題を担当するシェフチョビッチ委員は26日、ラトニック米商務長官らと良好な電話会談を行ったと発表。通商合意に向けて集中的な取り組みを迅速化すると述べ、貿易交渉の加速方針が示された。トランプ氏は27日、SNSで「中国と同様に、欧州もようやく前向きになってきた」と投稿している。米長期債利回りの低下基調もプラス。27日の米債券市場では、長期金利の指標となる10年債利回りの低下が続き(債券価格は3日続伸)、5月中旬の水準に落ち着いた。
 休場明けの米株市場では主要指標のNYダウが前営業日比1.8%高と5日ぶりに反発し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数も2.5%高と急反発した。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は18.96となり、前日比で7.83%下落。再び節目の20を下回った。米欧の貿易問題に対する不透明感が後退したほか、米景気懸念も薄らいでいる。5月の米消費者信頼感指数は、前月の85.7から98に上昇し、市場予想(87.1)を大幅に上回った。
 ただ、中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.3%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が3.4%安、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が3.4%安、京東集団(JDドットコム:JD:NASDAQ、9618/HK)が2.4%安と下げが目立っている。
 内部環境は悪くない。中国景気の持ち直しが期待されている。中国国家統計局は27日、中国工業企業の利益総額が2025年4月に前年同月比で3.0%増加し、2カ月連続でプラス成長を達成したと報告した。また、格付け大手のムーディーズ・レーティングスは26日、中国の格付け「A1」を据え置き。これを受けて中国財政部は、外部環境の不安定化にもかかわらず、中国経済は力強さと活力を十分に発揮したなどとする声明を発表している。そのほか足元では、複数の海外銀行が中国経済と中国株マーケットの先行きを楽観するリポートを相次ぎ公表した。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体としてしっかりか。中国景気の持ち直し期待に加え、昨夜の米株急反発が投資家心理を上向かせそうだ。ただ、週末31日に報告される5月の製造業PMIと非製造業PMIが気がかり。今月発表された月次経済統計は総じて弱い内容だっただけに、内容を見極めたいとするスタンスが強まれば、買い手控え要因として意識されることもあろう。



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