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2025/04/11 08:53

上値の重い展開か、米中貿易戦争が不安材料 無料記事

◆11日の香港マーケットは、米中貿易戦争を懸念し上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はネガティブ。経済規模で世界1位と2位の米国と中国が貿易戦争をエスカレートさせる中、世界のサプライチェーン(供給網)混乱や景気下押しが懸念されている。関税応酬により米国の対中追加関税は累計125%に上ったが、米ホワイトハウスは10日、3月に課した20%の関税と合わせて税率は145%になると改めて表明した。中国の報復関税は累計84%(34%+50%)に膨らんでいる。中国外交部の毛寧・報道局長は10日、中国共産党の創立に参加した毛沢東が「朝鮮戦争で米国に完全勝利するまで戦う」と演説した動画を投稿。関税問題で徹底抗戦する構えだ。
 10日の米株市場は投資家のリスク回避スタンスが強まり、主要指標のNYダウが前日比2.5%安と反落。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も4.3%安と反落している。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は前日比で21.12%高い40.72で終了。市場がパニックに近い状態とされる40を再び超過した。
 中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は1.1%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、微博(ウェイボー:WB/NASDAQ、9898/HK)が4.3%安、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が2.6%安、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が2.5%安と下げが目立っている。
 米債券市場では、米10年債利回りが上昇継続(債券価格は4日続落)。米株安に伴い、換金売りが出たとみられるほか、貿易戦争を背景に米国債が売られるとの不安も漂った。
 商品相場は、WTI原油先物が3.7%安と反落する一方、NY金先物は3.2%高と3日続伸。金先物は6日ぶりに史上最高値を更新した。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇している。
 一方、内部的には政策期待の高まりがプラス。外電報道によると、中国当局は近く、経済の活性化と資本市場の安定化に向け、輸出税還付など各種対策を打ち出す見通しだ。また、預金準備率や金利の引き下げなど金融緩和も前倒しで実施されるとの観測もある。
 なお中国では来週、重要経済指標の発表が相次ぐ。14日に3月の貿易統計、16日に小売売上高や鉱工業生産、第1四半期GDP成長率、15日までに金融統計などだ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。中国の政策に対する期待感は引き続き支えとなりそうだが、米中貿易戦争が不安材料だ。


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