◆24日の香港マーケットは、米中貿易摩擦の緩和期待で下値の堅い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境は悪くない。米高関税政策に端を発した米中の貿易摩擦に改善の兆しがある。トランプ米大統領はこのところ、中国に対し関税問題の交渉に応じるよう連日で呼びかけ、交渉次第では累計145％の対中追加関税を引き下げる可能性も示唆した。米メディアが報じたところによると、国家安全保障上の脅威と見なされない品目には35％、脅威と見なされる品目には少なくとも100％の関税を検討しているという。トランプ氏は23日、今後2〜3週間で、中国に対する新たな関税率を発表する可能性があると述べた。また、ベッセント米財務長官は23日、一部の記者団に対し、米中の高関税応酬は「持続的ではない」としたうえで、関税交渉を進展させるためには、両国が表明している現在の過度な関税率を引き下げる必要があるとの見解を示している。そのほか英メディアは23日、トランプ政権が自動車メーカーに対して関税の一部を免除する計画をたてていると報道。その中には、中国から輸入する自動車部品も含まれるようだ。
　23日の米株市場は前日の好地合いを継ぎ、主要指標のNYダウが前日比1.1％高と続伸。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も2.5％高と大幅に続伸した。米中摩擦の解消期待のほか、トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会（FRB）議長の解任を否定したが材料視されている。中央銀行の独立性を巡る懸念が後退する中、米資産売りの動きも後退し、米債券市場では米10年債利回りの低下が続いた（債券価格は続伸）。
　中国銘柄もしっかり。中国企業のADR（米国預託証券）で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数（HXC）は2.9％高と3日続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車（エックスポン：XPEV/NYSE、9868/HK）が7.3％高、金山雲（キングソフト・クラウド：KC/NASDAQ、3896/HK）が7.2％高、騰訊音楽娯楽集団（テンセント・ミュージック：TME/NYSE、1698/HK）が5.2％高と上げが目立っている。
　商品相場は、この日から期近となった6月物のWTI原油先物が2.2％下落し、NY金先物が3.7％安と大幅続落した。ロンドン金属取引所（LME）では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇している。
　内部環境も安定的。新規材料には乏しいものの、中国の政策に対する期待感が続いている。当局は株式市場の安定化や不動産市場の活発化に注力するほか、内需を拡大させるため、追加の消費刺激策を打ち出すとの観測や、金融緩和の期待も広がる状況だ。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは下値の堅い展開か。米中貿易戦争の不透明感は依然としてくすぶっているものの、関係改善の兆しが見えつつあることを好感しよう。中国景気の鈍化懸念が根強い中、当局が経済対策を強めるとの観測も相場の下支え要因だ。


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