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2025/02/28 08:51

売り先行か、米国の対中関税強化を懸念 無料記事

◆28日の香港マーケットは、中国追加関税を嫌気し売り先行か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はネガティブ。中でも、トランプ米政権の高関税政策がマイナス材料だ。トランプ米大統領は27日、中国からの輸入品に対し、3月4日から更に10%の追加関税を課すと表明。すでに米政権は、2月4日付で中国からの全輸入品に10%の追加関税を賦課しているため、あわせて20%の追加関税となる。また、延期していたカナダとメキシコに対する関税25%に関しては、予定通り4日から実施すると改めて述べている。それより先、26日には、欧州連合(EU)からの輸入品に対する25%の関税賦課を検討中で、近く発表する予定だと語った。
 27日の米株市場は、「トランプ関税」がインフレ圧力につながり、米個人消費も落ち込むと懸念され、主要指標のNYダウが前日比0.4%安と続落し、約1カ月半ぶりの安値を付けた。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は2.8%安と急反落。約4カ月ぶりの低水準で取引を終えた。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は前日比で10.63%高い21.13で終了。再び節目の20を上回り、昨年12月中旬以来の高水準を付けた。
 中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.9%安と3日ぶりに反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が3.0%安、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が2.3%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK、BABA/NYSE)が1.9%安と下げが目立っている。
 米債券市場では、インフレ懸念の高まりで米連邦準備理事会(FRB)が利下げしにくくなるとの見方が広がり、米10年債利回りが7営業日ぶりに低下している。ほか、商品相場は、WTI原油先物が2.5%高と3日ぶりに反発。金先物は1.2%安と反落した。
 一方、内部的には政策期待が高まっている。中国では来週3月5日、各種政策を決定する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕。テック産業や民間企業の支援策のほか、景気浮揚のため追加の消費刺激策が打ち出されるとの期待も強まる状況だ。なお、あす1日、2月の中国製造業PMI(国家統計局などが集計)と非製造業PMI、3日に民間集計の財新・中国製造業PMI、5日に財新・中国サービス業PMIの発表が予定されている。国家統計局による製造業PMIは1月の49.1から49.9、非製造業PMIは50.2から50.5にそれぞれ上向くとの予想がコンセンサスだ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは苦戦を強いられそうだ。米国の対中関税強化により、景気や企業業績に悪影響が及ぶ恐れがある。米ハイテク株が大幅に下げたことも不安材料だ。ただ、中国の政策に対する期待感は根強く、下値を叩くような売りは出ないだろう。



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