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2025/03/21 08:47

売り先行か、貿易戦争に警戒感 無料記事

◆21日の香港マーケットは、貿易戦争の警戒感で売り先行か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は不透明。「トランプ関税」に端を発した貿易戦争のエスカレートが経済を下押すとの懸念がくぶっている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国と欧州の関税応酬で、ユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率を0.5%押し下げる可能性があると指摘した。米ホワイトハウス当局者は先ごろ、トランプ米大統領は依然として4月2日に貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」を発動する方針だと説明している。また、トランプ氏は自身のSNSで、4月2日を「米国解放の日」だと述べた。
 20日の欧州株式市場では、各国の主要株価指数が軒並み下落(独DAXが1.2%安、仏CAC40が1.0%安、英FT100が0.1%安など)。米株市場では、主要指標のNYダウが前日比0.02%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.3%安とそろって反落している。米経済指標の改善で、ダウ平均は上昇する場面がみられたものの、上昇の勢いは続かなかった。
 中国銘柄は大幅安。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は3.8%安と3日続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が8.9%安、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が7.3%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が4.4%安と下げが目立っている。
 米債券市場では、米10年債利回りの低下が継続(債券価格は4日続伸)。米量的引き締めの減額などが引き続き債券相場の支えとなった。
 商品相場は、WTI原油先物が1.6%高と続伸し、金先物が0.1%高と小幅ながら8日続伸した。金先物は連日で過去最高値を更新している。中東地域の地政学リスクなどが意識された。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね下落している。
 一方、内部的には政策動向などの手がかりは不足。目先は企業業績の動向に注目が集まっている。香港では主要企業の期末決算報告が佳境入り。きょう21日は紫金鉱業集団(2899/HK)やTCL電子HD(1070/HK)、中国中煤能源(1898/HK)、中国神華能源(1088/HK)、中遠海運HD(1919/HK)、中遠海運港口(1199/HK)、洛陽欒川モリブデン業集団(3993/HK)、翰森製薬集団(3692/HK)、週明け24日は舜宇光学科技(2382/HK)や比亜迪(1211/HK)、比亜迪電子(国際)(285/HK)、安徽海螺水泥(914/HK)、康師傅HD(322/HK)、25日は万洲国際(288/HK)や薬明生物技術(2269/HK)、申洲国際集団HD(2313/HK)、快手科技(1024/HK)、恒安国際集団(1044/HK)、海底撈国際HD(6862/HK)、華能国際電力(902/HK)、昆侖能源(135/HK)、華潤置地(1109/HK)、中国電信(728/HK)、農夫山泉(9633/HK)、招商銀行(3968/HK)などだ。前日引け後に発表された決算では、長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス:1/HK)が27%減益、長江実業集団(CKアセット・ホールディングス:1113/HK)が21%減益、恒基兆業地産(ヘンダーソンランド:12/HK)が32%減益とさえない。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは売りが先行する流れか。貿易戦争による景気懸念がくすぶっている。中国の若年失業率が悪化していることも引き続き重しとなりそうだ。


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