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2025/04/08 09:01

上値の重い展開か、関税巡る米中対立を懸念 無料記事

◆8日の香港マーケットは、米中対立の激化懸念で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は依然として不透明。米中の関税応酬が世界経済を冷やすと警戒されている。トランプ米大統領は7日、米政権の「相互関税」に対抗する形で、中国政府が米国からの輸入品全てに34%の追加関税を課すほか、レアアース輸出規制も発表したことについて、「中国が34%の関税をあす4月8日までに撤回しない場合、米国はさらに50%の対中追加関税を課す」と自身のSNSで表明した。これまでの対中関税は予定を含め54%に達しているため、実現したら100%を超える関税となる。世界の二大経済大国、米国と中国が関税応酬を続ける中、世界経済のリセッション(景気後退)も意識された。
 4日の米株市場は乱高下。米国家経済会議(NEC)のハセット委員長が7日、「米政権は中国を除く全ての国・地域に対する関税を90日間停止することを検討している」との考えを示したと伝わり、主要指標のNYダウは急伸する場面があったものの、ホワイトハウスは「フェイクニュースだ」と否定。結局、前日比0.9%安と3日続落で取引を終えた。昨年5月以来、約11カ月ぶりの安値水準となっている。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は0.1%高と3日ぶりに小反発したが、自律反発の域を出ていない。
 中国銘柄は急落。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は5.1%安と反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が9.1%安、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が8.7%安、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が6.8%安と下げが目立っている。
 商品相場は、WTI原油先物が2.1%安と3日続落し、金先物も2.0%安と3日続落している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅は反発したが、アルミなど多くの主要産品が下落した。
 内部環境には好悪材料が入り混じる。中国経済対策の期待や、当局の市場支援スタンスなどはプラスだ。外電は7日、中国の政府関係者が週末、「トランプ関税」に対応するため、消費刺激策を前倒しするかどうかを協議したもよう――などと関係者の話として報じている。ゴールドマン・サックスは最新リポートで、米国が中国に対し予想以上の高関税を課したことを受け、中国政府は景気対策を加速する見通しを示した。また、「国家隊」と呼ばれる中国政府系ファンド(SWF)の中央匯金投資は7日、中国株の保有を増やし、市場を安定化させると表明。中央匯金投資は2024年春の株価急落時も、上場投資信託(ETF)を通じ相場を支えた経緯がある。ただ、企業業績の下振れリスクはくすぶる状況。香港に上場する主要企業は3月内に24年通期決算を報告したが、25年の業績見通しに貿易戦争の影響をどこまで反映させたかが見通せない。中国本土市場に上場する企業は4月末までに24年通期決算と25年1〜3月期決算を発表するため、業績動向が気がかりだ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。中国の経済対策や株価下支えに対する期待はあるものの、米中対立の激化が投資家心理を冷やすことになる。


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