◆23日の香港マーケットは、新規の買い材料に乏しい中で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境はやや不透明。米財政赤字の拡大で、インフレや金利高が進むと警戒されている。米連邦議会下院は22日、トランプ減税の延長を含む大型減税策を僅差で可決。上院も通過した場合、米史上最大と言われる減税で政府債務の膨張は不可避となる。22日の米債券市場では、米30年債利回りは約1年7カ月ぶりの高水準を付けた（債券価格は急落）。米10年債利回りは2月中旬以来の高水準を付けた後に低下したが、金利上昇圧力は高まったままといえる。
　同日の米株市場は全体として方向感を欠く。主要指標のNYダウが前日比でほぼ横ばい（1米ドル安）、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.3％安と3日ぶり反発で取引を終えた。
　中国銘柄はさえない。中国企業のADR（米国預託証券）で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数（HXC）は1.2％安と4日続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車（XPEV/NYSE、9868/HK）が7.9％安、阿里巴巴集団HD（アリババ・グループ・ホールディング：BABA/NYSE、9988/HK）が1.7％安、百度（バイドゥ：BIDU/NASDAQ、9888/HK）が1.7％安と下げが目立っている。小鵬汽車は前日、決算上振れで13.0％高と急伸していただけに、いったん利益確定の売りに押された格好だ。
　商品相場は、WTI原油先物が0.6％安と続落。主要産油国が原油増産で協議していると伝わり、先安感が意識された。NY金先物は0.6％安と4日ぶりに反落している。
　一方、内部環境に目立った手がかりはない。中国当局は先ごろ、政策金利の引き下げなど、経済対策を集中して打ち出した。モルガン・スタンレーは最新リポートで、2025年の中国経済成長見通しを上方修正し、中国株マーケットの主要株価指数についても目標株価を引き上げている。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。新規の買い材料に乏しい中、投資家の模様眺めスタンスが強まりそうだ。なお、来週も引き続き香港に上場するテック企業などの四半期決算が集中する。26日に美団(3690/HK)、27日に小米集団(1810/HK)や快手科技(1024/HK)、29日に理想汽車(2015/HK)などだ。


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