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2025/03/19 09:04

売り先行か、米金融政策動向が気がかり 無料記事

◆19日の香港マーケットは、米金融政策の見極めで売り先行か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境には気がかり材料がある。米国では18日から19日まで、米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。19日(日本時間20日未明)に公表される結果では金利据え置きが確実視されているが、その後の記者会見で、パウエルFRB議長がどのような見通しを示すかに注目が集まっている。足元では「トランプ関税」に端を発した貿易戦争のエスカレートで景気懸念が強まっているだけに、会見内容によっては景気不安が高まる恐れもありそうだ。東欧や中東の地政学リスクもくすぶる。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は18日、ロシア・ウクライナ戦争の停戦に向けて電話協議したが、合意は部分的なものにとどまった。また、イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザに大規模攻撃を再開。米国とイエメンの親イラン武装組織フーシ派との緊張も高まったままだ。
 18日の米株市場は、FOMC前の様子見などで、主要指標のNYダウが前日比0.6%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.7%安とそろって3日ぶりに反落。中でもハイテク大手7社の下げが目立ち、「マグニフィセントセブン(M7)」指数は2.5%安と他の主要指数をアンダーパフォームした。個別では、電気自動車(EV)のテスラが5.3%安。中国の高級EVメーカーが運転支援機能を無償提供すると伝わり、同国で高度運転支援システムの導入を目指す同社にとっての脅威になるとみられた。ほか、半導体のエヌビディアが3.4%安。中国で低コストのAI(人工知能)が相次ぐ中、米企業のAI投資が減少し、半導体需要も鈍化すると懸念された。
 中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.2%安と3日ぶりに反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が7.8%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が3.3%安、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が3.1%安と下げが目立っている。新興EV小鵬汽車の通期決算は赤字額が縮小し、今年第4四半期の黒字見通しも明らかにしたが、好感する買いは限定された。
 米債券市場では、米10年債利回りの低下が継続(債券価格は続伸)。20年債入札が好調だったことで、国債需要の底堅さが意識された。
 商品相場は、WTI原油先物が1.0%安と3日ぶりに反落する一方、金先物が1.2%高と6日続伸した。金先物は連日で過去最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅が上昇する一方アルミが下落するなど主要産品の値動きがまちまちだった。
 一方、内部的には目立った手がかりに乏しい。香港では主要企業の期末決算報告が本格化している。きょう19日は騰訊HD(700/HK)や安踏体育用品(2020/HK)、中国平安保険(2318/HK)、金山軟件(3888/HK)、香港中華煤気(3/HK)、電能実業(6/HK)、20日は吉利汽車HD(175/HK)や中国生物製薬(1177/HK)、長江実業集団(1113/HK)、長江和記実業(1/HK)、恒基兆業地産(12/HK)、華潤電力HD(836/HK)、瑞声科技HD(2018/HK)、中国移動(941/HK)、21日は紫金鉱業集団(2899/HK)やTCL電子HD(1070/HK)、中国中煤能源(1898/HK)、中国神華能源(1088/HK)、中遠海運HD(1919/HK)、中遠海運港口(1199/HK)、洛陽欒川モリブデン業集団(3993/HK)、翰森製薬集団(3692/HK)などだ。
 なお、中国ではあす20日(日本時間10時ごろ)、実質的な政策金利となる3月の最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」が発表される。銀行貸出の指標となる1年物LPRは3.10%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRは3.60%に据え置かれる見通しだ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは売り先行か。米金融政策の動向を見極めたいとするスタンスが優勢となろう。ハンセン指数は前日まで急ピッチに上昇し、約3年1カ月ぶりの高値水準を付けたとあって、売り圧力も高まっている。目先は業績動向に着目した物色となろう。


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