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2025/03/05 08:59

しっかりか、全人代が開幕 無料記事

◆5日の香港マーケットは、中国経済対策の期待感でしっかりか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は依然として不透明。米国の高関税政策で、貿易戦争がエスカレートすると懸念されている。トランプ米政権は4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課した。それより先、トランプ米大統領は3日、中国に対する追加関税を10%から20%に引き上げる大統領令に署名している。これに対し、中国政府は4日、米国産の鶏肉や小麦、トウモロコシなどに最大15%の追加関税を賦課すると発表。カナダ政府は米国製品に25%の報復関税を課す方針を明らかにし、メキシコ政府も米国に対する対抗措置を9日に発表する見通しだ。サプライチェーン(供給網)の混乱や、インフレ高進などで世界経済に下押し圧力がかかると不安視されている。
 ただ、好材料も浮上。米国とウクライナとの間で決裂していた鉱物資源の共同開発について、ここにきて一転、トランプ大統領が協定に署名する準備をしていると伝わった。ロシア・ウクライナ戦争の停戦交渉が前進する可能性も高まっている。
 4日の米株市場は、リスク回避の売りが広がり、主要指標のNYダウが前日比1.6%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.4%安とそれぞれ続落した。ナスダック指数は昨年11月4日以来、4カ月ぶりの安値を付けている。個別では、電気自動車(EV)のテスラが4.4%安。2月の中国販売が前年実績を大幅に下回り、2年半ぶりの低い水準に落ち込んだと報じられた。
 半面、中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は2.0%高と4日ぶりに反発した。主要な香港との重複上場銘柄では、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が11.3%高、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が7.1%高、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が5.8%高と上げが目立っている。
 米債券市場では、米10年債利回りが3日ぶりに上昇。前日は、昨年12月上旬以来、約3カ月ぶりの低水準を付けていた。
 商品相場は、WTI原油先物が0.2%安と3日続落する一方、金先物が0.7%高と続伸。ロンドン金属取引所(LME)では、銅が下落する一方アルミが上昇するなど主要産品がまちまちだった。
 内部環境は良好。経済対策に対する期待感が強まっている。各種政策を決定する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、きょう5日午前9時(日本時間10時)に開幕する。全人代の冒頭では、李強・首相が「政府活動報告」を読み上げ、今年の国内総生産(GDP)成長率目標や重要な政策にも言及する見通しだ。外部環境の不確実性が高まる中、当局は消費の促進など内需拡大に注力する方針とみられている。
 なお、本日の取引時間中(日本時間10時45分ごろ)に、民間集計による2月の財新サービス業購買担当者指数(PMI)が公表される予定。最新の市場コンセンサスでは、1月の51.0から50.7にやや低下すると予想されている。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体としてしっかりとした展開か。米中関係の悪化懸念は続いているが、中国経済対策の期待感が相場を支えよう。


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