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2025/04/10 09:09

神経質な値動きか、米中関税応酬に歯止めかからず 無料記事

◆10日の香港マーケットは、米中関税応酬を懸念し神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は好悪材料が入り混じる状況。米中の関税応酬に歯止めがかからない中、経済的なつながりを分断する「デカップリング」が警戒されている。トランプ米大統領は9日、中国が対米報復関税を課したことに対し、更に上乗せの関税賦課を宣言。累計の関税は125%となる。中国政府は9日、トランプ米政権が84%の追加関税を発動(この時点での累計追加関税は104%)したことへの対抗措置として、米輸入品への追加関税として50%上乗せすると発表していた(これまでの予告分とあわせ84%の追加関税)。
 一方、トランプ氏は9日午後、同日発動した相互関税の上乗せ分について、報復措置を取らなかった一部の国・地域で90日間停止すると表明(猶予期間中の相互関税は一律10%)。世界的な貿易戦争エスカレートに対する警戒感がやや薄れたことは好材料だ。
 9日の米株市場は「相互関税」一時停止を手がかりに、主要指標のNYダウが前日比7.9%高と5日ぶりに反発。1日あたりの上げ幅は過去最大となった。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は12.2%高と急反発している。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は前日比で35.75%低い33.62で終了。依然として20は超えているものの、市場がパニックに近い状態とされる40を割り込んだ(前日は52.33)。
 中国銘柄もしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は4.5%高と3日ぶりに反発した。
 主要な香港との重複上場銘柄では、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が6.7%高、京東集団(JDドットコム:JD:NASDAQ、9618/HK)が6.2%高、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が6.2%高と上げが目立っている。
 米債券市場では、米10年債利回りが小幅に上昇(債券価格は3日続落)。利回りは一時、4.51%と2月下旬以来の水準に上昇したが、債券売りが一巡し、4.33%で取引を終えた。
 商品相場は、WTI原油先物が4.6%高と5日ぶりに急反発。NY金先物は3.0%高と続伸している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇した。
 内部的には政策期待の高まりがプラス材料。李強・中国首相は9日、外的要因で中国経済の安定運営に逆風が吹く中、積極的な経済政策の必要性を強調した。足元では当局が株価対策を矢継ぎ早に発表。預金準備率や金利の引き下げなど、金融緩和が早期に実施されるとの観測も高まっている。
 なお、中国では本日朝方(日本時間10時半ごろ)3月の物価統計が報告される予定。最新の市場コンセンサスでは、消費者物価指数(CPI)が前年同月比マイナス2.3%(前月はマイナス2.2%)、生産者物価指数(PPI)が0.0%(同マイナス0.7%)で着地する見通しだ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。中国の相場支援策や景気刺激策などに対する期待感が強まる一方、米中のデカップリングが不安視されている。投資家に様子見ムードも漂いそうだ。


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