2025/04/17 08:57
売り先行か、米中に景気悪化懸念 
◆17日の香港マーケットは、景気悪化懸念で売り先行か。(亜州リサーチ編集部)
外部環境はネガティブ。関税政策を巡る米中対立が新たな局面に入る中、経済のデカップリング(分断)が警戒されている。足元では、中国が国内空運会社に対し、米ボーイング機を追加納入しないよう指示したほか、香港郵政は米国向け郵便荷物の引き受けを停止すると発表した。一方、トランプ米大統領は重要鉱物輸入に関し、新たな関税の可能性などについても検討するよう関係部局に指示。そのほか米国は半導体世界大手の米エヌビディアが中国向けに設計した人工知能(AI)用GPU「H20」を輸出規制の対象にした。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言も逆風。議長は16日、トランプ政権の高関税政策で景気が悪化する恐れがあるとの認識を示した一方、インフレ懸念が残るだけに早期利下げには慎重になるべきとの考えを明らかにした。米経済はスタグフレーション(不況下のインフレ)に陥る可能性も不安視されている。
16日の米株市場は、投資家のリスク回避スタンスが強まり、主要指標のNYダウが前日比1.7%安と続落。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も3.1%安と続落した。個別ではエヌビディアが6.9%安。米半導体規制が収益を圧迫すると懸念された。ほか、テスラが4.9%安。対中関税などの影響で、一部の部品を中国から米国に輸入する計画が停止したと報じされた。
中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は2.7%安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が16.8%安、京東集団(JDドットコム:JD:NASDAQ、9618/HK)が5.6%安、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が5.6%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が5.0%安と下げが目立っている。
米債券市場では、米10年債利回りが低下(債券価格は3日続伸)。米株安を背景に、安全資産としての米国債に注目が集まった。
商品相場は、WTI原油先物が1.9%高と反発し、NY金先物が3.3%高と続伸した。金先物は3日ぶりに史上最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇した。
内部環境はやや不透明。前日公表された中国経済統計では、1〜3月のGDP成長率や3月の小売売上高、鉱工業生産などが予想を上回ったが、市場からは「関税応酬の影響はこれから顕在化する」と悲観する声も聞かれた。米中の対立に解決の糸口がつかめず、企業業績の先行き不安も強まっている。ただ、経済対策の期待感は高まる状況。市場には早期の金融緩和観測もある。中国では週明け21日(日本時間10時ごろ)、実質的な政策金利となる3月の最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」が発表される予定。市場コンセンサスでは銀行貸出の指標となる1年物LPRが3.10%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRが3.60%に据え置かれる見通しだが、一部では引き下げの可能性も指摘されている。
なお香港市場はあす18日がグッドフライデー、週明け21日がイースターマンデーで休場となる(本土市場は通常取引)。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは売り先行か。米中の景気悪化懸念が投資家心理を冷やしそうだ。また、香港市場はあすから連休入りするため、積極的な売買も手控えられよう。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境はネガティブ。関税政策を巡る米中対立が新たな局面に入る中、経済のデカップリング(分断)が警戒されている。足元では、中国が国内空運会社に対し、米ボーイング機を追加納入しないよう指示したほか、香港郵政は米国向け郵便荷物の引き受けを停止すると発表した。一方、トランプ米大統領は重要鉱物輸入に関し、新たな関税の可能性などについても検討するよう関係部局に指示。そのほか米国は半導体世界大手の米エヌビディアが中国向けに設計した人工知能(AI)用GPU「H20」を輸出規制の対象にした。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言も逆風。議長は16日、トランプ政権の高関税政策で景気が悪化する恐れがあるとの認識を示した一方、インフレ懸念が残るだけに早期利下げには慎重になるべきとの考えを明らかにした。米経済はスタグフレーション(不況下のインフレ)に陥る可能性も不安視されている。
16日の米株市場は、投資家のリスク回避スタンスが強まり、主要指標のNYダウが前日比1.7%安と続落。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も3.1%安と続落した。個別ではエヌビディアが6.9%安。米半導体規制が収益を圧迫すると懸念された。ほか、テスラが4.9%安。対中関税などの影響で、一部の部品を中国から米国に輸入する計画が停止したと報じされた。
中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は2.7%安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が16.8%安、京東集団(JDドットコム:JD:NASDAQ、9618/HK)が5.6%安、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が5.6%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が5.0%安と下げが目立っている。
米債券市場では、米10年債利回りが低下(債券価格は3日続伸)。米株安を背景に、安全資産としての米国債に注目が集まった。
商品相場は、WTI原油先物が1.9%高と反発し、NY金先物が3.3%高と続伸した。金先物は3日ぶりに史上最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇した。
内部環境はやや不透明。前日公表された中国経済統計では、1〜3月のGDP成長率や3月の小売売上高、鉱工業生産などが予想を上回ったが、市場からは「関税応酬の影響はこれから顕在化する」と悲観する声も聞かれた。米中の対立に解決の糸口がつかめず、企業業績の先行き不安も強まっている。ただ、経済対策の期待感は高まる状況。市場には早期の金融緩和観測もある。中国では週明け21日(日本時間10時ごろ)、実質的な政策金利となる3月の最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」が発表される予定。市場コンセンサスでは銀行貸出の指標となる1年物LPRが3.10%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRが3.60%に据え置かれる見通しだが、一部では引き下げの可能性も指摘されている。
なお香港市場はあす18日がグッドフライデー、週明け21日がイースターマンデーで休場となる(本土市場は通常取引)。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは売り先行か。米中の景気悪化懸念が投資家心理を冷やしそうだ。また、香港市場はあすから連休入りするため、積極的な売買も手控えられよう。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。