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2025/06/13 08:44

上値の重い展開か、中国指標の発表が気がかり 無料記事

◆13日の香港マーケットは、中国指標の見極めで上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境には好悪材料が入り混じる。米長期金利の低下基調がプラス材料だ。インフレ懸念が薄らぎ、12日の米債券市場では、米10年債利回りの低下が続いている(債券価格は続伸)。前日発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことに続き、12日公表の卸売物価指数(PPI)も下振れた。また、新規失業保険申請件数(週間)が予想を上回り、2021年終盤以来の高水準に達したこともあり、年内の利下げ期待が一段と高まっている。短期金融市場のデータによると、利下げが年3回になる可能性も出始めた。一方、中東地域の地政学リスクが高まっていることはマイナス。米国とイラクの核協議が難航する中、イラン国防軍需相は11日、米国との核協議がとん挫し、米との間に紛争が生じた場合、中東地域の米軍基地を攻撃すると警告した。トランプ米大統領は12日、イスラエルがイランを攻撃する可能性は十分あり得るとの認識を示している。米政府は中東地域から一部の職員を退避させた。
 12日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.2%高と反発し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数も0.2%高と反発した。インフレ懸念が薄らいだことや、ハイテク大手の好決算が投資家心理を上向かせている。IT(情報技術)のオラクルが発表した3〜5月期決算は予想を上回り、強気な収益見通しを明らかにした。AI(人工知能)向けクラウド事業の好調を見越している。同社株は13%超上昇し、ハイテク株全般をけん引した。ただ、中東地域の地政学リスクや、トランプ米政権の貿易交渉を巡る不透明感などで、指数は安く推移する場面もみられている。
 中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.4%安と4日ぶりに反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が5.9%安、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が3.5%安、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が1.8%安と下げが目立っている。
 商品相場は、利益確定の売りに押されWTI原油先物が0.2%安と反落する一方、NY金先物は1.8%高と続伸した。
 内部的には中国指標の発表が気がかり材料。中国では週明け16日、5月の小売売上高や鉱工業生産などが公表される。市場コンセンサス予想では、4月実績をやや下回る見込みだ。今月報告された月次経済統計では、米ドル建て輸出が予想以上に減速し、輸入は予想以上に減少。物価統計ではデフレ傾向の継続が明らかとなった。
 こうした中、本日の香港マーケットは全体として上値の重い展開か。米ハイテク株高を好感した買いが先行する可能性もあるが、週明け公表の中国指標を見極めたいとするムードも強まりそうだ。


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