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2025/07/09 08:39 NEW!!

神経質な値動きか、米関税政策に不透明感 無料記事

◆9日の香港マーケットは、米関税政策の不透明感で神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境は依然としてネガティブだ。「トランプ関税」の警戒感が続いている。トランプ米大統領は8日、新たに8月1日から発動するとした関税について、「延長は認められない」と表明。前日7日の延長を示唆する発言を撤回した。また、トランプ氏は記者会見で分野別の関税にも言及。銅・銅製品の輸入に50%、医薬品には最大200%の関税を課す考えを明らかにした。ラトニック商務長官はメディアインタビューに応じ、銅に関する調査は完了しているとして、「関税は7月末、もしくは8月1日に導入する可能性が高い」との見通しを示している(NY銅先物は前日比13.2%高と急伸)。一方、外電が報じたところによると、中国は8日、トランプ米政権に対し、8月から自国製品に対する関税を復活させることで貿易摩擦を再燃させないよう警告した。
 8日の米株市場はまちまち。主要指標のNYダウが前日比0.4%安と続落する半面、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.02%高と小反発している。米通商政策の不透明感が重しとなる一方、AI(人工知能)産業の拡大期待が根強く半導体などハイテク関連が物色され相場を下支えした。
 中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.7%高と5日続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が2.5%高、京東集団(JDドットコム:JD:NASDAQ、9618/HK)が2.1%高、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が1.7%高と上げが目立っている。
 一方、内部的には指標発表が気がかり。中国では9日、6月の物価統計が公表される予定だ。最新の市場コンセンサスでは、消費者物価指数(CPI)が前年同月比マイナス0.1%(5月はマイナス0.1%)、生産者物価指数(PPI)がマイナス3.2%(同マイナス3.3%)で着地すると予想されている。中国当局はこのところ、デフレ圧力の高まりに対する対策を強化しているだけに、改善の兆しがみられるかが焦点だ。
 ほか、香港ではきょう9日、新規株式公開(IPO)が集中する。半導体設計企業の峰チョウ科技深セン(1304/HK)、CCUS(カーボン・リサイクル)企業の北京首鋼朗沢科技(2553/HK)、自律走行搬送ロボット(AMR)大手の北京極智嘉科技(2590/HK)、統合型クラウド通信サービス大手の北京訊衆通信技術(2597/HK)、民間歯科医療サービスの武漢大衆口腔医療(2651/HK)、最先端デバイス部品製造の藍思科技(6613/HK)などだ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。中国の政策に対する期待感は根強いものの、米関税政策の不透明感が引き続き相場の重しとなりそうだ。


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