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2025/04/23 08:52

買い先行か、米中貿易戦争の過度な警戒感薄らぐ 無料記事

◆23日の香港マーケットは、米中貿易戦争の過度な警戒感が薄らぐ中で買い先行か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はややポジティブ。米高関税政策の過度な警戒感が薄らぎつつある。米メディアが報じたところによると、ベッセント米財務長官は22日、投資家との非公開会合で、米中の関税交渉はまだ始まっていないが、取引は可能だとの見方を示したうえで、膠着は長く続かず、緩和していく見通しだと述べた。また、一部のメディアは、「トランプ米政権は日本・インドと貿易合意に近づいているもようだ」と伝えている。
 22日の米株市場は、投資家心理が上向き、主要指標のNYダウが前日比2.7%高と5日ぶりに急反発。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も2.7%高と5日ぶりに反発している。米中摩擦の緩和期待が強まる中、主力株に見直し買いが広がった。また、前日の売り要因のひとつ、「トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の退任を求めている」と報道されたことについて、トランプ氏は22日、「解任するつもりはない」と明言したことも買い安心感につながっている。米債券市場では米10年債利回りが3日ぶりに低下した(債券価格は上昇)。
 中国銘柄は買い継続。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は3.7%高と続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が6.4%高、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が5.2%高、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が4.8%高と上げが目立っている。
 商品相場は、WTI原油先物が1.9%高と反発する一方、NY金先物は0.2%安と反落した。ただ、金先物は一時、連日で史上最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が概ね上昇した。
 内部環境は安定的。米中貿易戦争が中国経済を下押すと不安視される中、当局は政策支援を強める構えだ。国務院(内閣に相当)は18日に常務会議を開き、厳しい外部環境に直面しているとして、雇用や貿易の支援に注力するほか、株式市場の安定化と不動産市場の活発化に向けた取り組みを強化する方針を決定している。
 前日の本土市場では、主要株価指数の上海総合指数が約3週ぶりの高値を付けた。国有大手行が軒並み上昇したほか、「国家隊」と呼ばれる政府系ファンドの買い支え観測もある。また、本土マネーの香港流入も加速。中国本土・香港間の株式相互取引(ストックコネクト)を通じたサウスバウンド取引(本土→香港)では4月の買い越しが拡大し、月次ベースではすでに21年1月以来の高水準と伝わった。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは買い先行か。米中貿易戦争の過度な警戒感が薄らぎ、投資家のリスク選好が強まりそうだ。また、中国の政策に対する期待感も引き続き支えとなろう。なお、国際通貨基金(IMF)が22日公表した世界経済見通し(WEO)によると、中国の25年成長率予想は前回の4.6%から4.0%に引き下げられたが、むしろ景気対策につながるとの見方もあり、相場に対する悪影響は限定的となろう。


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